DSC EXPRESS
Vol.054

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  • 3Dコンテンツの起爆力 ~トレンドとしての「新宿東口の猫」~

    3Dコンテンツの起爆力
    ~トレンドとしての「新宿東口の猫」~

    多くの都府県で緊急事態宣言下の猛暑の日々、皆さまはいかがお過ごしだろうか?さて今回は DSC EXPRESS 7月15日号でもいち早く紹介された「#新宿東口の猫」ブームを更に深掘りしてみたいと思う。出口の見えないコロナ影響下で外出自粛や人流の抑制が定着しつつある昨今、 OOHには逆風の時代と言われるが、ここには多くの可能性とヒントがありそうだ。

     2021年7月12日(月)、新宿駅東口広場前のクロス新宿ビル屋上(4階相当)で「クロス新宿ビジョン」が営業を開始した。このLEDディスプレイの面積は154.7㎡、SMD6mmピッチで4K相当の表示が可能とのこと。見た目もL字型に回り込んだ特徴的な形状の屋外ビジョンである。同ビル1~3階はイベントスペースとして活用可能、イベントとビジョン放映を連動させることで、効果的なプロモーションも可能であるとのことだ。
     このビジョンで7月1日からの試験放映期間に放映された巨大な猫のCGコンテンツが、あっという間に「新宿東口の巨大猫」として、テレビ、ネット、SNSを巻き込んで大きな話題となったことは既報のとおりである。おそらく単体のデジタルサイネージ(又はコンテンツ)が瞬間的にこれほどの話題を巻き起こしたのは初めてのことではないだろうか?
     3Dコンテンツ自体は以前からゴーグルを使うもの、左右の視差を利用するもの、LEDの回転ブレードで表示するもの等々、様々なジャンルがあったがどちらかと言うとテクノロジー先行の感があり、なかなか身近な体験として普及しきれていなかったのが現状と思う。今回の「猫」はもちろんある位置から見上げた時だけ立体に見えるのだが、①高精細の大型ビジョン、②リアルかつ巨大な猫の意外性、③静止画や動画を通してもちゃんと立体感が共有できること等が、大きなトレンドとなった要因であると思われる。新宿駅東口のピンポイントのサイネージが全国、いや全世界にその存在を拡散された訳で、メディアプロモーションとしては大成功だろう。
     従来からサイネージのコンテンツと言えば、ニュース・天気予報等、いわゆる情報ものが定番であったが、この「巨大猫」の登場は、クリエイティブに軸足をおいてサイネージとその(拡散される)体験価値を再定義するターニングポイントなのかも知れない。偶然ではあるが、2021年5月に開業したJR新宿駅の東西自由通路に設置された長さ45.6mの「新宿ウォール456」でも、あえて広告枠とは別にMoment Factory社が制作したクオリティの高い環境演出コンテンツを常時、放映している。
     街のあちこちのサイネージで、いろいろ「ありえないモノ」が見られたり、素晴らしい体験ができる近未来は決して遠くないし、そんな日常を想像するとかなり楽しい。(T.Y.)
    【参考】
    CROSS SPACE 公式YouTubeチャンネル(写真は同サイトより)
    https://www.youtube.com/channel/UC8cnCaq-MquhsebMer9A9rQ

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