DSC EXPRESS
Vol.052

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  • 一期一会の体験を提供するデジタルOOH

    出典:JCDecaux 公式Twitter

    一期一会の体験を提供するデジタルOOH

    便利な時代になるにつれ、「体験」を価値と捉えられるようになって久しい。そんな中で、OOHもそこでしか出会えない、一期一会の体験を提供するメディアとしてその価値を高めていると感じる。さらに、テクノロジーの力によってその効果をさらに高めているのではないだろうか?

    どこにいてもあらゆるサービスが受けられる時代。インターネットを経由してどんな情報にもアクセスできるし、見たいドラマや番組も好きな時に視聴でき、自宅で仕事をし、さらにはご飯だって、ボタン一つで簡単に自宅に届く。こんな便利な時代になるにつれてか、人々の消費行動は“モノ”消費から“コト”消費、さらに“トキ”消費*1にシフトしたといわれて久しい。簡易的な説明をすると、人々の消費意欲は物理的な“モノ”を手にすることから体験や気持ちを得る“コト”、さらにその瞬間でしか参加できない体験の“トキ”へシフトしているということなのだが、個人的には、昨今はこれにさらに“リアル”体験の価値が高まっているのではと感じている。なんでもオンラインで完結できる一方で、“デジタル疲れ”や“デジタルデトックス”という言葉がでてきたことからわかるように、一日中スマホやPCを見続ける生活にどこか嫌気がさしている人も多いのではないだろうか。さらには新型コロナウィルスの影響で人との接触や外出が減り、オンラインでのコミュニケーションはますます増える一方で、リアルでの体験の価値は相対的に上がっていると考えられる。
    広告の世界にも同じことが言えるのではないかと思っている。あらゆるセグメントを駆使して広告を届けるオンライン広告は非常に効率的かつ効果的であるが、その反対に特定の場所や期間でないと出会えないOOHはまさに“リアルな体験”を提供するメディアとして、また違った価値を提供できるのではないかと思う。

    ここで一つ事例を紹介したい。JCDecaux Brazilの事例だが、新しい映画の告知として、大胆な立体物の掲出を行った。これは内照式の看板にモンスターの模型を組み合わせたアナログな手法であるが、依然コロナの状況が厳しいブラジルにおいても、通行人の目を引きSNSでも拡散され、とても話題になったという。


    さらにはこうしたOOHにデジタルサイネージの技術を組み合わせることで、さらに効果的で印象的な広告体験を提供できると感じる。記憶に新しいのは先日ローンチされた、新宿東口の『クロス新宿ビジョン』の巨大猫の3Dサイネージだ。

    参照:PR Times https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000082647.html

    中国・韓国などではすでに導入され話題になっていた手法のサイネージだが、今にも看板から飛び出してきそうな猫の映像は、通行人の目を奪った。このサイネージは国内外で話題を呼び、放映の時間に合わせて、わざわざこの場所に見に来ていた人もいたほどだったそうだ。
    こうした体験は、まさに“今ここでしか出会えない”、一期一会のものではないだろうか。
    この事例からもいえるように、もともとOOHのもつ提供価値に最新の映像技術が組み合わさることで、これまで以上に印象的で忘れられない広告体験を提供できるのではと感じる。今後のデジタルOOHの価値の行方に期待する。(N.N)

    *1 博報堂生活総合研究所の提唱を参照

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