駅デジタルメディアの方向性
感染者数の最高記録を更新していた新型コロナウイルス変異株による第5波の影響もようやく峠を超えた。そのような中、緊急事態宣言が解除された福岡の街に新しい立体的?な媒体が誕生した。先日からテスト運用が始まった西鉄福岡(天神)駅のLEDビジョン「プレミアムスクリーンTENJIN」をご紹介する。
9月26日、西鉄天神大牟田線のターミナル駅『西鉄福岡(天神)駅』の人気媒体「アドスクリーン」が、交通系OOHとしては九州最大級の横14.3×縦2メートル(SMD4㎜ピッチ)の巨大LEDビジョン「プレミアムスクリーンTENJIN」となって登場した。
駅のメイン動線である北口改札上に新しく設置されたこのデジタルサイネージは、LEDの設置面が湾曲して(凹んで)いるという非常に特殊な条件下のため、曲面の追従性が高いラバータイプのLEDユニットを採用している。
このラバータイプのメリットとしては、もともと駅の湾曲構造に沿った見た目にもきれいな施工が可能だったこと、LEDユニット自体が軽量で設置工事のコスト減に繋がっていること、メンテナンスの容易性などがあげられる。
このDSC EXPRESSでも何度か取り上げられているが、3Dコンテンツで話題になった新宿のビジョンはL字型の特殊な形状であったし、先日東京の日本橋兜町にオープンした大規模複合用途ビル「KABUTO ONE」内に出現したLEDディスプレイはキューブ型をしている。
今後ますます増えるであろう街中の立体型デジタルサイネージであるが、ターミナル駅で考えると次は円柱型のピラーになるのだろうか。
いずれにしても、コンテンツだけではなくメディア側も立体化することによって、そこにどんな表現が生まれ、どのような付加価値が生まれるのか今後が楽しみである。
通常、駅構内のデジタルサイネージは、ロケーション価値が高い場所に設置されており既存媒体からの代替として導入されることが多い。それに加えて最近では、デジタルならではの新たなマネタイズの手法が注目されており、各社で実証実験が盛んにおこなわれている。
リアルデータを使った連携については、地方ではまだまだ手探り状態であるが、要因の1つは、ロケーションの価値を含んだ媒体社側の評価とリアルデータを元にしたWEB側の評価が乖離していることも大きい。
今回の「プレミアムスクリーンTENJIN」もデジタル化することで他メディアとの連携など柔軟性が高まることは明らかであり、立体的なディスプレイを使った新たな可能性にも期待している。
百聞は一見にしかず、駅構内の立体的?なデジタルメディアにご興味がある方は、ぜひ現地を訪れていただきたい。(K.O)