DSC EXPRESS
Vol.058

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  • もうひとつの3Dサイネージにも注目

    もうひとつの3Dサイネージにも注目

    新宿の3D猫がデジタルサイネージ事例としては過去に例がないほど話題になったことはDSC EXPRESS Vol.54で既報のとおりだ。この新宿の3D猫の影に隠れて、同じタイミングで3Dサイネージが登場していたことをご存知だろうか。

     それが渋谷のシブハチヒットビジョンである。こちらにニュースリリースがある。シブハチヒットビジョンは既存の大型LED媒体で、3Dのコンテンツ放映は7月5日からとなっている。3Dの猫、クロス新宿ビジョンの放映開始は7月11日である。テスト放映はその少し前から始まっており、その時点からSNSでは大きな話題になっていたが、渋谷の方はなぜかあまり知られていない。

     シブハチヒットビジョンは渋谷のハチ公交差点の大型ビジョン群のうち、向かって一番左側のビジョンである。非常に巨大で解像度も高く、視認性も良好で宮益坂の途中からもはっきり視認できる。9月10日の時点では、猫ではなく犬のCGと、このビジョンを固定している鉄骨を表現していた。iPhoneで動画を撮影したが、新宿クロスビジョンと同様にモアレが出てきれいに動画撮影することが出来なかった。これはデジタルカメラなどで撮影設定を変えれば回避できるが、拡散しやすいiPhoneではこうなってしまう。

     あまり話題になっていないのにはいくつか理由が考えられ、それは新宿との比較で考えるとわかりやすい。まずシブハチヒットビジョンはディスプレイが平面であるのに対して、新宿クロスビジョンはL字型になっている。このため3D効果がわかりにくい。またコンテンツの違いも大きい。犬と猫の差異はさほどないと思われるが、いかにも3Dっぽいか、それなりにリアルかの違いである。実はナインティナイン(実写)が登場するコンテンツもあったようだ。これはかなり3D見えたのではないだろうか。ただし広告素材なのでPRがしにくかったという側面もあるだろう。

     あとは掲出頻度の違いだ。30分近く現場にいたが、3D素材は上記のものが1回のみの掲出。これだと見るタイミング、撮影するタイミング、拡散するタイミングがなかなかない。一方の新宿ではかなりの頻度で掲出されるので、簡単に3D猫に会うことができる。ここは放映料金やセールス状況にも依存するが、話題性という意味ではヘビーローテーションが効果的なことは言うまでもない。

     この事例によって平面ディスプレイでも、コンテンツ次第で3D効果を得られることがわかった。何でも3D化すればいいということではなく、ナイナイの登場する素材は、最初は2Dで途中から3Dになるという秀逸な演出も施されている。媒体の特性、広告商品メニュー、ローテーション、そしてクリエイティブをうまくマッチングできれば、他のデジタルサイネージでもインパクトのある利用が可能なはずである。これらの事例から学ぶことはとても多い。(Y.E.)

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