DSC EXPRESS
Vol.031

DSC EXPRESS Vol.031をお届けします。
毎月15日発行です。どうぞ宜しくお願い致します。

  • 池袋駅の自由通路ど真ん中に登場した非接触タッチパネルサイネージ

    池袋駅の自由通路ど真ん中に登場した
    非接触タッチパネルサイネージ

    この事例の特徴は、駅の通路の真ん中という設置場所と、非接触タッチパネルが超快適にチューンされていることだ。
    タッチパネル端末の設置場所は、通行の邪魔になる、滞留が発生するなどの理由で、壁面や隅の方に追いやられるのが通常だ。そうなると存在自体が目に入りにくくなり、結局使われない、だから必要ないという悪循環を繰り返している。本件の設置場所は池袋駅の自由通路。人が減っているとはいえ、この場所に設置したのは英断である。
    また非接触系のタッチインターフェースはいくつか存在しているが、これはその中でも最も違和感がなくサクサク動いてくれる。これには正直驚いた。通常のタッチパネルとは異なり、非接触モノは操作している実感がなく心地よくないのだが、この事例ではこれをいくつかの方法で回避できている。

    一番のポイントはディスプレイまでの距離だ。筐体に対してディスプレイは5センチほど奥に設置されている。指が近づくとターゲットスコープのようなものが表示される。これによってXY軸方向の指先の位置が自分でわかる。またこれが表示されるタイミングも絶妙である。ディスプレイから5センチ手前に赤外線センサーがつけてあり、指先がディスプレイに到達する前にこのスコープが表示されるので。指が空中をさまようような感覚が全くない。誤ってディスプレイを触ってしまうことがないのだ。注意点としては、赤外線方式だと、座標指定を正確にと言うか細かい精度が出しにくいので、画面のボタンデザインや配置もそれを考慮しておく必要がある。
    事例として根本的な問題としては、外国人向けということならわからなくもないが、この場所で果たして案内が必要なのかということ。提供される情報とUIの問題。音声入力はほとんど使えないレベルだ。という問題はあるが、設置場所と非接触ユーザーインターフェースの2点は、これまでの日本の現状からすると称賛に値すると思う。(Y.E.)

  • JR東日本、12月21日(月)から横須賀・総武快速線に新型車両を導入~トレインチャンネル・まど上チャンネルは面数拡大~

    JR東日本、12月21日(月)から横須賀・総武快速線に
    新型車両を導入
    ~トレインチャンネル・まど上チャンネルは面数拡大~

    JR東日本横浜支社は横須賀・総武快速線に12月21日(月)から順次、新型車両「E235系」の営業運転を開始すると発表した。総数745両(11 両×51 編成・4 両×46 編成)のうち、今年度は8編成120両(11 両×8 編成・4 両×8 編成)を導入予定とのこと。「E235系」と聞いてお気づきの方もいらっしゃると思うが、これは新型山手線車両と同一の型式になる。山手線新型車両は2015年から営業運転を開始、2020年1月に全50編成の置き換えを完了した。同車両では広告用のデジタルサイネージを従来のドア上に加えて、新たに窓上部に3面、車両連結部扉上部に1面設置して話題となったが、今回の横須賀・総武快速線の新型車両もこのフォーマットを踏襲し、「トレインチャンネル」と3面の「まど上チャンネル」、1面の「サイドチャンネル」が設置されている。特に山手線「まど上チャンネル」では3画面を活用し、動画・静止画を交えたアイキャッチの高い多くのクリエイティブが放映されているだけに、今回の新型車両の「まど上チャンネル」でも、どのようなクライアントがどんな優れたクリエイティブを見せてくれるか楽しみである。
    なおこの新型車両では「トレインチャンネル」も21インチに大型化された他、空気清浄機や防犯カメラ、停電時でも最寄り駅や降車避難しやすい場所まで走行できるように非常走行用電源装置を搭載する等、機能的には山手線を更に進化させたものとなっている。またグリーン車では各座席にコンセントを備え、車内Wi-Fiも提供されるとのこと。
    この新型車両の走行エリアは意外に広く、三浦半島から都心を経由して房総半島の外房線、内房線、成田線、鹿島線等の各線を走行する。通勤や外出で電車に乗る機会も減っている昨今ではあるが、機会があれば横須賀・総武快速線の新型車両のサイネージをチェックしていただきたい。(T.Y.)
    ■JR東日本横浜支社リリース
    https://www.jreast.co.jp/press/2020/yokohama/20201112_y02.pdf

  • デジタルサイネージ
    NEWS解説

    驚異のAIスーパー千葉に登場 唐揚げにハイボールをリコメンド 記事元:日経ビジネス 11月27日

    九州に本拠を置くディスカウントストアのトライアルカンパニー(福岡市)は 2020年7月、「AI(人工知能)カメラ」やタブレット搭載の「スマートショッピングカート」などを備え、データを分析して顧客にアプローチするスマートストアを、関東で初めてオープンした。 計180台導入されたスマートショッピングカートに搭載されたタブレットだけでなく、店内48カ所に設置されたデジタルサイネージにも、カメラの画像情報やカートに読み込ませた会員情報などからサイネージの前にいる顧客を検知することで、当該顧客が購入する可能性の高い商品を映し出す。スマートショッピングカートを押して店内を回る顧客に対し、データ分析から顧客の行動を予測し、購入しそうな商品を、さまざまな手段でレコメンドできるわけだ。

    スーパーマーケットに買い物に行く主婦達は、夕飯の献立を決めて買い物に行くのではなく、スーパーマーケットに行って食材を見ながら、今日はこれが安いからこの献立にしよう、など現場で決めることが多いと聞いたことがある。また、データマイニングの話でしばしば使われる、「おむつを買った人はビールを買う傾向がある」という話。かさばるおむつを買うように頼まれた父親が、ついでに缶ビールを買うという事例だ。このように、スーパーマーケットの陳列や導線というものは、人の購買意欲に直結しており、ただ物を置いて売っているだけではなく、工夫次第でいかようにでもなるというのは自明の理だろう。
    ICTやAIの発達により、その提案方法は高度になってきた。福岡で話題となったスマートストアが遂に関東圏にもオープンしたが、AIカメラやデジタルサイネージなどを使い、買う物を決めていない、何を買うかわからない層に対しての情報の与え方をよりスマートにしている印象だ。カート内の情報から、目の前のサイネージにこの商品を買った方がいいよと表示されればちょっと気になってしまうだろうし、毎日の買い物であればどうしても割引率の高いものを選びたくなるので、そういった情報が出てくれば購買意欲がかき立てられるだろう。また、料理の食材を買うときは、どうしてもレシピがつきまとう。使ったことのない食材や作ったことのない料理は調べるのが億劫だが、レシピまで表示してくれたら大変助かるものだ。顧客情報を読み込ませ、この食材は恐らく冷蔵庫にないから買っておいた方が…なんて提案をされたらもうそのスーパーしか行かなくなるかもしれない。
    そこまでいくには難しいとしても、ICTの発展とスーパーマーケットの親和性は非常に高いように思う。この記事にあるように、AIの利用で物流や卸の無駄が少なくなったのはとても大事な話で、人が今までしてきたことをよりスマートに分析・実現出来ることは、正しいDXのあり方のように思う。
    規模の大きい小売店でないとなかなか普及はしないかもしれないが、忙しい現代を生きる一消費者として、ICTの発展でより家事などに使う頭の領域が緩和されれば、と思う。(R.F.)

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