応援広告:
ファンがお金を出し合う広告のカタチ
アイドルのファンがお金を出し合って、アイドルの誕生日や記念日をお祝いする広告を掲出する。本場韓国では定着する「応援広告(センイル広告)」が、日本でも普及してきている。その背景には、“推し”の文化定着とクラウドファンディングの仕組みがある。
応援広告は、世界のアイドル市場を席巻する韓国を発祥とする。韓国ではセンイル広告といい、すでにメジャージャンルとして定着している。元々はファンがお金を出し合ってポスター広告枠を購入し、応援メッセージを寄せ書きして張り出すなどしていたものだが、大型ビジョンへと拡大していき、それが第4次韓流ブームの中で日本にも浸透してきている。
日本で韓流POPスターのプロモーションビデオが流れるメッカは、新宿YUNIKA VISIONであろう。韓流スターのミュージックビデオが流れるビジョンの前には、編成を確認してお目当てのスターの登場を待つファンが常に見かけられる。そのYUNIKA VISIONにも実は応援広告の掲出が可能である。
https://www.yunikavision.jp/information/20231231_005804.html
これらの応援広告が今までのOOH広告と異なるのは「リターンを求めていない」ということであろう。企業マーケティングのような、ターゲットに「これを買って欲しい、こうして欲しい」というリターンへの期待はそこにはない。自己承認欲求はもちろん根底にあるのであろうが、そこにあるのは「推しを応援したい、推しにお金を使いたい」という純粋な想いである。
応援広告専門の広告会社も日本上陸している。
センイル広告エージェンシーJAPAN
https://birthdayadjp.shop/
この分野の知識はないファンの子たちにも、丁寧に分かりやすく説明している
上記広告会社のリンクにも詳しいのだが、応援広告も基本的には著作権・肖像権の利用許諾はとる必要がある。またポスター1枚の世界ならともかく、大型ビジョンの放映にはある程度の費用が必要となる。
それらをまとめて解決したのが、広告会社 東急エージェンシーとクラウドファンディングプラットフォームのREADYFORが組んで開始した「FUN FLAG」というサービスである。
FUN FLAG応援広告クラウドファンディング
https://funflag.readyfor.jp/
利用許諾はもちろん、画像やロゴの手配もこのサービスが代行し、クラウドファンディングによる費用調達がサポートされる。
韓流に限らず、「推しを支える」という文化の社会的定着は、推しをテーマとした小説が芥川賞を受賞したり、幾多の推しネタマンガが人気を博するのと重ね合わせても実感される。
この新しいムーブメントは、一過性でなく新しいビジネスモデルとして定着する可能性をはらんでいる。
(K.K.)