驚異のAIスーパー千葉に登場 唐揚げにハイボールをリコメンド 記事元:日経ビジネス 11月27日
九州に本拠を置くディスカウントストアのトライアルカンパニー(福岡市)は 2020年7月、「AI(人工知能)カメラ」やタブレット搭載の「スマートショッピングカート」などを備え、データを分析して顧客にアプローチするスマートストアを、関東で初めてオープンした。 計180台導入されたスマートショッピングカートに搭載されたタブレットだけでなく、店内48カ所に設置されたデジタルサイネージにも、カメラの画像情報やカートに読み込ませた会員情報などからサイネージの前にいる顧客を検知することで、当該顧客が購入する可能性の高い商品を映し出す。スマートショッピングカートを押して店内を回る顧客に対し、データ分析から顧客の行動を予測し、購入しそうな商品を、さまざまな手段でレコメンドできるわけだ。
スーパーマーケットに買い物に行く主婦達は、夕飯の献立を決めて買い物に行くのではなく、スーパーマーケットに行って食材を見ながら、今日はこれが安いからこの献立にしよう、など現場で決めることが多いと聞いたことがある。また、データマイニングの話でしばしば使われる、「おむつを買った人はビールを買う傾向がある」という話。かさばるおむつを買うように頼まれた父親が、ついでに缶ビールを買うという事例だ。このように、スーパーマーケットの陳列や導線というものは、人の購買意欲に直結しており、ただ物を置いて売っているだけではなく、工夫次第でいかようにでもなるというのは自明の理だろう。
ICTやAIの発達により、その提案方法は高度になってきた。福岡で話題となったスマートストアが遂に関東圏にもオープンしたが、AIカメラやデジタルサイネージなどを使い、買う物を決めていない、何を買うかわからない層に対しての情報の与え方をよりスマートにしている印象だ。カート内の情報から、目の前のサイネージにこの商品を買った方がいいよと表示されればちょっと気になってしまうだろうし、毎日の買い物であればどうしても割引率の高いものを選びたくなるので、そういった情報が出てくれば購買意欲がかき立てられるだろう。また、料理の食材を買うときは、どうしてもレシピがつきまとう。使ったことのない食材や作ったことのない料理は調べるのが億劫だが、レシピまで表示してくれたら大変助かるものだ。顧客情報を読み込ませ、この食材は恐らく冷蔵庫にないから買っておいた方が…なんて提案をされたらもうそのスーパーしか行かなくなるかもしれない。
そこまでいくには難しいとしても、ICTの発展とスーパーマーケットの親和性は非常に高いように思う。この記事にあるように、AIの利用で物流や卸の無駄が少なくなったのはとても大事な話で、人が今までしてきたことをよりスマートに分析・実現出来ることは、正しいDXのあり方のように思う。
規模の大きい小売店でないとなかなか普及はしないかもしれないが、忙しい現代を生きる一消費者として、ICTの発展でより家事などに使う頭の領域が緩和されれば、と思う。(R.F.)