渋谷スクランブル交差点付近の屋外ビジョンで放映される広告
『DSC EXPRESS Vol.127』でも取り上げた、渋谷スクランブル交差点付近の屋外ビジョンではどのような広告が放映されているのか。一定の期間行った観測の結果について触れてみたい。
渋谷スクランブル交差点付近の屋外ビジョンは広告主に人気の高いメディアであるが、下図①~⑥の地点に設置されている屋外ビジョンについて、2023年10月16日(月)から22日(日)にかけての1週間、朝10時から夜9時まで、放映される広告の観測を行った。それぞれのビジョンの大きさや設置される高さは異なり、また、放映開始時間が他のビジョンよりも早い、音が出る・出ないといった違いもある。
放映された広告について全般的に言えるのは、業種の種類が自動車・スポーツ用品・音響/映像ソフト・医薬品・化粧品・食品・飲料・ファッション・金融・映画・音楽/動画配信サービス・マンガ/ゲームアプリ・興行・航空・官公庁・・・と多岐にわたること。そういった広告が、月曜日から日曜日にかけての1週間の間、観測を行った全ての時間帯で放映されるケースが多く見られた(1時間の中で放映される回数は広告によって異なる)。また、複数のビジョンで同時に放映を開始する「シンクロ放映」を行う広告が割と目立ち、6基同時に放映されるプレミアムシンクロの他、5基同時、4基同時、3基同時…といったシンクロ放映パターンが確認された。更に、同じ期間に電車の車両デジタルサイネージや駅構内のデジタルサイネージで、シンクロ放映された広告と同一基調の広告放映もあった。シンクロ放映にはそれ以外にも、JRの線路を跨いだ宮益坂方面に設置されるビジョンを含めた13面シンクロも存在し、アナログの屋外広告と合わせた空間ジャックもあるとのこと。その他に、夕方の6時を過ぎた頃から夜の街並みに映えるアルコール飲料の広告が放映されたが、ファッション・アクセサリー系のラグジュアリーブランドなどは、暗い空を背景に広告を引き立たせるため、夜の時間帯に限定して放映することもあるそうだ。
ビジョンごとに見ると、JR渋谷駅ハチ公口出口に最も近い①の「109フォーラムビジョン」は、他のビジョンに比べ広告主の数が圧倒的に多いため、一つの広告主が1時間に放映される回数が少ない、⑤の「渋谷駅前ビジョン」は特定の一社の広告を除くと、殆どの広告がシンクロ放映で占められていたなどといった特徴が見られた。
シンクロすると一瞬にして空間をジャックするところが、渋谷スクランブル交差点付近に設置されるビジョンの面白いところ。これらのビジョンで放映されたコンテンツが話題になることはよくあるが、ビジョンを効果的に活用し、街を行き交う人たちの気持ちにインパクトを与える、そんな面白いクリエイティブの更なる出現に期待したい。(K.S.)