DSC EXPRESS
Vol.143

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  • 四角いカタチは人々をワクワクさせる?!

    出典:ユニクロ YouTube公式チャンネル

    四角いカタチは人々をワクワクさせる?!

    2020年以降、ユニクロの店舗でみかけるようになったキューブ型LEDビジョン。従来の平面型とは明らかに異なるキューブ型が、ユニクロのブランディングにどのような影響を与えているのか、なぜ人々は心奪われるのか、考えてみた。

     ユニクロの店舗では、これまでもデジタルサイネージを使用して商品の紹介や演出を行ってきたが、近年、銀座や横浜、福岡の店舗などに導入されたキューブ型LEDビジョンはその役割が従来とは異なる。1m四方の立方体にユニクロロゴが縦横に動く演出が施され、人々の目を惹き、不思議なほどワクワク感を生み出している。

     そのキューブ型LEDビジョンに映し出される現在のユニクロのロゴは佐藤可士和氏によるものだ。このリブランディングにより、ユニクロはかつての平凡な大衆ファッションのイメージから一新し、クールで洗練されたグローバルブランドへの転換を果たしたのは有名な話。一新したカタカナとローマ字のロゴは、ニューヨークなどの都市で感度の高いクリエイティブな人々にも受け入れられ、ユニクロの最先端かつ洗練されたイメージの確立に成功した。そんなユニクロの最先端かつ日本のポップカルチャーのイメージを反映したロゴとキューブ型LEDビジョンは、見事にハマっている。

     さらに、興味深いのは、ユニクロ店舗のキューブ型LEDビジョンは、センサーやタッチ機能などを持たなくても、動きのある四角い形で人々にインタラクティブな体験を感じさせてくれるところだ。デジタルサイネージと言えば、先進的な技術が逆に冷たい印象を与えがちだが、このキューブ型は親近感や遊び心さえ感じさせる。

     ところで、私感ではあるが、ユニクロのキューブ型LEDビジョンのワクワク感は、ユニバーサルスタジオにあるニンテンドーワールドで感じた心が踊る感覚と似ているように思う。想像するに、四角い形には潜在的に人々の気持ちを高揚させる性質があるのだろう。マリオのハテナブロック、期待した数字が出ますようにと願うサイコロ、すべての面を同色に揃えるルービックキューブなど、子どもの頃から四角いオブジェクトは遊び心や予測不可能性を提供し、私たちの心を掴みドキドキワクワクさせてきた。ユニクロ店舗のキューブ型LEDビジョンも、四角い形が生み出すワクワク感に、ユニクロならではの楽しいロゴの動きが加わり、ユニクロがロゴを一新して確立したブランディングに一役を担ったと言っても過言ではない。

     デジタルサイネージは、一般的に大型化の傾向にあるが、このように小型でも形状やコンテンツの力により、道行くひとの注目を集め、ワクワクさせ、ブランディングにも大きな影響を与えることができるツールとなるのである。(E.M.)

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