サイネージの光害(ひかりがい)対策
~「光害対策ガイドライン」手引きのご紹介~
社会全体がコロナ禍の影響から回復しつつある昨今、DOOHの分野でも新たな大型サイネージが壁面や屋上に続々と設置されて話題になっています。各業界団体や調査機関のレポートでもOOH市場は引き続きの成長が見込まれており、この分野での市場拡大が期待されています。
今号ではDSCより本年9月に公開した「デジタルサイネージにおける『光害対策ガイドライン』運用の手引き【第1版】」のポイントについて改めてご紹介します。
DSCでは2023年9月1日に「デジタルサイネージにおける『光害対策ガイドライン』運用の手引き【第1版】」(以下、「手引き」)を公開した。これは事業者が屋外にデジタルサイネージを設置する際に自治体等から、「光害(ひかりがい)対策ガイドライン(改訂版)」(環境省:2021年3月公開)に準拠して設置するように求められるケースや、独自の光害対策要綱等を定めて設置事業者に手続きを義務化する自治体が増えてきたためである。「手引き」では主に以下の項目を解説している。
1)サイネージを設置するロケーションの「光環境類型(E1~E4)」を事前に自治体等に確認すること。
2)夜間・深夜等において「発光面の平均輝度の最大許容値」を参照し、遵守すること。
3)平均輝度の算出方法
4)日中帯における平均輝度を設定する際の留意点
5)その他、不明な点は各自治体の担当窓口又は環境省の担当窓口に問い合わせを行うこと。
詳細は光害対策ガイドラインや「手引き」を参照いただきたいが、現在、屋外広告の分野では大規模な再開発や地域活性化プランに伴って、一定の条件を満たした上で屋外広告物条例の規制を緩和したり、独自のルールを設けたりするケースが増えている。一方で、エリアによっては景観向上や光害対策の観点から、より厳しい規制や配慮が求められている事例もある。
既にサイネージは社会インフラの一部としてあらゆる用途やロケーションに普及しているが屋外サイネージの役割は、情報発信ツールとして、街の賑わいや話題づくりのシンボルとして、景観を形成する重要な要素となっていることも忘れてはならない。不明な点があれば積極的に自治体等の窓口に相談・確認しつつ、様々な法令やルールを遵守して生活者に配慮したサイネージを設置・運用していくことが、今後ますます重要になっていくだろう。(T.Y.)
※図は地域における光環境のイメージ/「光害対策ガイドライン」より引用