地方でも拡大する駅構内のLEDビジョン
今年1月、東京メトロ半蔵門線渋谷駅の柱に国内OOHでは初めて1.26㎜ピッチの超高精細LEDが導入され話題になったことは記憶に新しい。この事例のように東京はもちろんのこと、ここ最近は地方でもLEDの導入が盛んな印象を受ける。今回はそのなかのひとつ、2月に西鉄福岡(天神)駅に登場した「TENJIN TREE VISION」をご紹介したい。
西鉄福岡(天神)駅といえば、2021年9月に交通系OOHとしては九州最大級のLEDビジョン(SMD4㎜ピッチ)「プレミアムスクリーンTENJIN」が登場した。この場所は出力紙対応だった既存媒体「アドスクリーン」がLEDビジョンとして生まれ変わったわけであるが、もともとその形状が湾曲して特殊だったため、ラバータイプのLEDユニットを採用したことでも話題になった。
そして、この「プレミアムスクリーンTENJIN」が登場してまだ2年も経っていないが、その第2弾ともいえる既存媒体のリニューアルが今年2月に行われたのである。
2本の円柱状の既存媒体「アドピラー」はこれまでシート貼りであったが、今回のリニューアルで「プレミアムスクリーンTENJIN」と同様、ラバータイプを使用したLEDビジョン(GOB2.5㎜ピッチ)に変わった。冒頭に述べた半蔵門線渋谷駅の「渋谷55ストリートビジョン」のような高精細かつ連続性のある媒体ではないが、注目すべきは今回もその形状で、鉄道施設としては日本初の円柱状LEDビジョンとなった。
形状が独特ゆえ、それを活かしたコンテンツ制作や360度に向けた演出も可能になるため、クリエイティブの腕の見せ所でもある。2、3月は地元の水族館「マリンワールド海の中道」が館内にある筒状の水槽と形状が似ている事から、この円柱状LEDビジョンを水槽に見立て、アザラシの生態や魅力をPRしていた。
この「TENJIN TREE VISION」の誕生で、今後も話題となるようなコンテンツが出てくることを期待したい。また今回は駅構内のサイネージ紹介であったが、現在進行している「天神ビックバン」のような再開発プロジェクトでも各所でサイネージの導入が予定されており、福岡の新たな街メディアが見られる日も近いのではないだろうか。(M.T.)