広告の出稿が好調な
タクシーサイネージメディア
メディアや広告に関わる人であれば、タクシー助手席のヘッドレストに設置されたサイネージメディアは気になる存在であろう。今回は、広告の出稿が好調なタクシーサイネージメディアについて触れてみたい。
タクシー広告の効果には、①決裁権があるビジネス層(役職者)や富裕層に訴求できる、②閉鎖的な空間で街中にいるよりも情報が少なく、広告が目にとまりやすい、③タクシー利用者はリピーターが多いため接触回数が多い(ザイオンス効果が期待できる)などといったことが挙げられる。
そのような効果が期待できるタクシーサイネージメディアで放映される広告は、BtoB向けのものが多いのが特徴(勿論、BtoC向けサービスの広告も放映されている)。タレントマネジメントシステム、人材開発(育成)サービス、人材マッチングサービス、勤怠管理システムなどといった、管理部門をサポートするサービスの他、マーケティングや営業をサポートするサービスなど、スタートアップ企業を中心に、BtoB向け競合サービスの広告が多数放映されている。また、殆どの広告において、俳優、お笑い芸人、モデル、タレントなどの著名人が起用され、認知と内容理解を促す広告表現となっている。
タクシーサイネージメディアで高いシェアを誇るのは、株式会社IRISが運営する『TOKYO PRIME』と、株式会社ニューステクノロジーが運営する『GROWTH』。導入規模が大きいのは『TOKYO PRIME』で、全国12都市で約61,500台の導入台数(株式会社IRIS「TOKYO PRIME Media Guide 2022.10-2023.03」より)を誇る。一方、『GROWTH』も東京を中心としながら、札幌・名古屋・京都・滋賀・横浜などの都市でも事業を展開している。
『TOKYO PRIME』は2021年と比べ全体の導入台数を10,000台以上増やし、規模感を大きくしているが、IRIS社は『TOKYO PRIME』以外にも、⾸都圏近郊の⾼級ゴルフ場にあるゴルフカート後部座席にデジタルサイネージを設置した『GOLFCART VISION』や、ヘリコプターサイネージといった広告メディアを展開している。
『GROWTH』は2022年10月より従来のモニターと比較して156%のサイズアップ、FULL HDの解像度で高精細な放映が可能なモニターに順次切り替えを行っている。また、ニューステクノロジー社は『GROWTH』以外にも、東京都内のオフィスビルを中心に展開するオフィス喫煙所サイネージメディア『BREAK』や、東京の高級ヘアサロン専門サイネージメディア『COVER』といった広告メディアを展開している
OOH領域で存在感を放っている2社の動きに今後も注目していきたい。(K.S.)