ビールブランド広告事例
OOH、DOOH、モバイル広告を組み合わせたビールブランドの広告を紹介。ブランディング効果のみならず、商品の売上にも顕著な効果があらわれた。
“Dry January”という言葉をご存じだろうか。1 月にアルコールを控えるよう人々に呼びかける公衆衛生キャンペーンで、ヨーロッパ、アメリカ等で浸透している。2013年に慈善団体であるアルコールチェンジUKが、飲酒習慣の改善を啓もうするためのキャンペーンとしてスタートした。そもそもは飲酒スタイルを変えて健康に対する意識を促進することを目的としていたけれど、年末の飲みすぎを反省して、新年の一か月をアルコール抜きで過ごそうとする気持ちも相まって、近年は拡大し続けている習慣だとか。
このトレンドを利用して、ハイネケンがフランスで実施した、OOHとモバイルを組み合わせたマルチメディアキャンペーンを紹介する。
キャンペーンの目的は、Dry Januaryに挑戦する人たちを応援すること。ハイネケンのノンアルブランド「Heineken 0.0」、「Desperados Virgin 0.0」(いずれも日本未発売)の認知度アップと売上アップがKPI。
このキャンペーンでは、トラディショナルOOH、DOOH、モバイル広告を組み合わせた。JCDecauxがパリ中心部に設置するバス停広告、モノポリやカルフールに設置されたDOOHに加えて、ロケーションターゲティング機能を使って成人男女にモバイル広告を配信。
事後調査ではOOH/DOOHとモバイル広告を組み合わせることにより、メッセージ伝達の広さと深さを増幅させる効果があることが検証された。
また、モノポリストアでの売り上げもメディアミックスが大きく貢献。
OOHとDOOHを組み合わせることによって、Heineken 0.0の売上はOOH単体よりも19%アップ、さらにモバイル広告を組み合わせることで18%アップ。Desparados Virgin 0.0%も同様に、プラスDOOHとモバイルで、売り上げがアップする結果となった。
OOHとモバイル広告の組み合わせで、屋外のオーディエンスに広告効果を高めることができるという事実は、数々のキャンペーンでも実証済みではあるが、このキャンペーンの成功のポイントはコンテクストがプラスされている点ではないかと考える。ノンアル一か月という挑戦をビールブランドが応援するユニークさ、挑戦を楽しさに変えるラテン的な明るさが、キャンペーンの成功に大きく寄与しているように思う。
さて最近は、日本でも新型コロナ感染防止による制限が少しずつ緩和され、会食の頻度が戻ってくることが予想される。少し気は早いが、秋から年末に向けて、アルコールを飲む機会が増える人も多いだろう。Dry Januaryを言い訳にしないよう、節度ある酒席を楽しみましょう。 (Y.T.)