DSC EXPRESS
Vol.086

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  • デジタルはアナログアートを昇華させられるか ゴッホと北斎

    ついにデジタルサイネージ運用業務に特化した
    アウトソーシング事業者が現れた

    ついにデジタルサイネージの運用業務専門にアウトソーシング受託する事業者が現れた。これはデジタルサイネージ市場の拡大が進む中で、運用にかかる負荷を減らしたいという潜在ニーズがかなりあるからのようだ。

     プラットワークスは、デジタルサイネージ運用業務のアウトソーシング受託事業を開始した。すでに首都圏の大手鉄道事業者の広告媒体の運用業務などを開始しているとのことだ。同社はデジタルサイネージの世界ではあまり知られていないのだが、放送の世界では知る人ぞ知る存在である。すでに20年以上にわたってテレビ局やIP配信サービスの運用業務に特化した業務を行っており、200以上の地上波、衛星、ケーブルチャンネルやネット配信プラットフォームの業務を受託しており、日本最大の規模と実績がある。

     同社によると、「放送運用業務とデジタルサイネージのそれは基本的には同じ業務フォローであり、放送と同じようなニーズがデジタルサイネージにも存在するはず」とのことだ。すでに放送クオリティーの運用監視業務を24時間365日行っているので、デジタルサイネージ領域に参入する場合でもあらたな設備や人的投資やコストの増加要因はほとんどなく、デジタルサイネージ特有の業務や素材考査の特殊性を把握すればよい。またデジタルサイネージシステムは各社各様であるが、プラットワークスではすでに主要なサイネージシステムのCMSを実際に運用している。
     
     同社のアウトソーシング受託領域は上図の通りで、特定の業務部分だけでも切り出して受託できるようだ。

     放送とは異なるので24/365までの監視業務が必要なサイネージ事例は多くはないと思うが、そうした体制での有人監視を200名体制で行っているというのは、デジタルサイネージ事業者には非常に安心感があるはずだ。アウトソース費用に関しても、前述の理由からサイネージ事業者が社内リソースを使うよりも十分効果がある価格で提供できるようだ。運用業務から開放されることで、媒体開発や営業、クリエイティブなどの領域にリソースを振り向けることができる。

     放送局が業務をアウトソースするということは以前には考えられないことだったが、いまでは当たり前である。放送よりも遥かに小規模で運営されているデジタルサイネージでは、運用業務は外部委託した方が媒体側にとってもありがたい。これまで専門アウトソーシング事業者が登場しなかった、あるいは専門性のない事業者しか存在しなかった理由は、運用監視体制の確立とノウハウが必要だったからだ。ここに来て、広告利用はもちろん、販促も含めたデジタルサイネージが普及するにつれて、こうした事業者からすると小さな運用業務の積み重ねでも採算が取れる規模になりつつあるのだ。

     またこういったアウトソーシング事業者の登場は、サイネージ利用者だけではなく、サイネージを売る側のメーカーやシステムベンダーにとっても朗報になるはずだ。これまで継続的な運用を行うことに対して二の足を踏んでいた潜在ユーザーに、安心して紹介できるからだ。こういったことからもデジタルサイネージ市場が拡大を続けていることがよくわかるのではないだろうか。(Y.E.)

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