出典:日本マクドナルドホールディングス
アフターコロナを前に
デジタル化がもたらすマクドナルドの未来
新型コロナの影響下、創業以来 最高売上を達成し躍進を続けるマクドナルド。コロナによる行動とニーズの変化に素早く対応しただけでなく、これまで投資を続けてきたデジタル化によるカスタマーエクスペリエンスの最適化で、更にその進化は止まらない。
新型コロナ流行による自粛要請で営業時間短縮、来店客減少と、都市部を中心とした店舗で大きな打撃を受けている外食産業。
しかし、そのような中でも日本マクドナルドホールディングスは、2020年度の売上5,892億円、対前年比7.3%増と、創業以来過去最高売上を叩き出した。
既存店売上をみると、客数は1割近く減少しているが、客単価は16.7%増えている。これは、テイクアウトやデリバリーでまとめ買いによる購買行動の変化がもたらしたものである。デリバリーについては、実施店舗が2019年度710店から、2020年は1,518店と倍増させ、独自のMcDeliveryのほか、ウーバーイーツ、出前館といったパートナーのチャネルも広げている。
新型コロナの影響で顧客の行動やニーズが大きく変わり、購買方法やビジネスのあり方を変えたわけだが、
その適応力が速いというだけでなく、コロナ以前から様々なデジタル化へ投資をおこない積極的に進めてきていたからである。
店頭のメニューボードは4面や5面のデジタルサイネージにリプレースし、時間帯でメニューが自動で変わり、キャンペーンに合わせた訴求メニューを大きく表示する。
UIも一新され使いやすくなった「モバイルオーダー」は、来店前にスマートフォンのアプリで注文から決済まで完了でき、来店時にすぐにできたての商品を受け取れる。また「モバイルオーダー」で注文した商品を、車に乗ったまま店舗の駐車場で受け取れるサービス「パーク&ゴー」は、2020年12月末時点で全国の828店舗で展開している。
大掛かりな屋外用タッチディスプレイなどハードやシステムを利用する必要もなく、顧客に一番近いサイネージ=スマホで、スタッフとも、機器とも接触することなく、オーダーから支払いまで一気に完結するのである。あとは画面から指示された駐車場で待てば商品はピックアップできる。
さらに、ファストフードの巨人はデジタルエコシステムへの取り組みも続けており、過去の分析データだけではなく、天気や地域イベント情報等をAIが判断しメニューボードのコンテンツ表示を変更したり、ライブのPOS情報や在庫情報と連携しリアルタイムで販売増につながるメニューを展開する。
また、個人を特定できるモバイルオーダーではパーソナルにカスタマイズされたおすすめコンテンツを提供する。さらに店舗によっては50%以上の売上を占めるドライブスルーにおいて、ナンバープレートから顧客を特定し購買履歴からおすすめメニューをAIからの情報とともに、屋外ディスプレイに表示させるのである。
カスタマージャーニーの中で情報の質を高め提供機会を増やし、一気に支払いまでシームレスで完結する仕組みをさらに進化させていくのである。
ワクチン摂取の拡大により、近い将来日常が戻る。
このコロナから生き残るための努力をし、生き残り強靭な体質を得た外食産業は、さらに明るい未来が開けるに違いない。(H.I)