「見えないディスプレイ」の可能性
首都圏の緊急事態宣は解除されたが、コロナ禍に終息の兆しはまだまだ見えない。
新たな2021年度も先行き不透明な状況ではあるが、今回はデジタルサイネージ関連の記事から気になったトピックスを取り上げてみたい。
凸版印刷、成田市のシェアスペース「GAKUYA」に空間演出ブランド「expace™」 が採用 記事元:PRTIMES 3月8日
凸版印刷株式会社は、1956年より建具、壁、床等の化粧シートや建装材を製造・ 販売する事業を展開しており、意匠性や機能性に優れ、環境に配慮した建装材を 提供しています。
凸版印刷がもつ、化粧シートの豊富なデザインラインアップにより、本施設のシ ンボルとなる大型本棚に調和した、床・壁・天井などの各種建装材やデジタルサ イネージを提供しています。これにより、空間デザインに統一感をもたらすとと もに、さりげなく情報を発信することが可能となります。
「expace™」自体は凸版印刷が展開する「自然物をリアルに再現した高意匠・高機能な建装材を使用し、最新のセンシング技術等を組み合わせて高付加価値空間を創出するブランド」であるが、ここで注目すべきはこの建装材とディスプレイを組み合わせた同社の「インフォウォール™」である。これは液晶ディスプレイと透過性を持った化粧シートを組み合わせることで、空間デザインを損なわずに情報表示ができる壁面デジタルサイネージで、2019年度より提供され、2020年12月からはより視認性を向上させ、フルカラーの表示を可能にする新モデルがリリースされている。
特に情報提供や環境演出を目的とするサイネージでは、ディスプレイや筐体が目立ちすぎ、設置スペースの環境イメージを損なうため、設置が見送られるケースが少なくなかった。また表示すべき情報が無い時も電源を切ってしまうと故障中と思われるため、設置後は常にコンテンツを表示し続けなければならないことも運用のハードルであった。情報を表示していない時は単なる壁面に見えるいわゆる「見えないディスプレイ」の潜在的なニーズはオフィスやマンション、ショップ内等、実は意外にあるのではないかと思われる。
従来、このようなニーズにはプロジェクターによる投影が採用されてきたが、この「インフォウォール™」の登場によってユーザーの選択肢が増えたことになる。表示されるコンテンツの見え方やコスト効率、メンテナンス方法等、まだまだ課題はありそうだが、この「見えないディスプレイ」は注目すべきジャンルであると言える。(T.Y.)
■インフォウォール
https://www.toppan.co.jp/news/2020/12/newsrelease201201_1.html
※写真は凸版印刷(株)プレスリリース(2020/12/1)より