DSC EXPRESS Vol.033をお届けします。 毎月5日、15日、25日発行です。どうぞ宜しくお願い致します。
デジタル化が進まなかったバス停を省電力技術を駆使しスマート化。バス利用者にもバス事業者にも便利で使いやすい次世代バス停「スマートバス停」の運用が全国で始まっている。
私たちの生活を支える路線バスは、国内の人口減少・過疎化などの影響を受け、ピーク時に比べ利用者数が非常に落ち込んでいる。さらに、コロナ禍の影響を受け、厳しい経営状態を強いられている国内のバス事業者も少なくはなく、そのため運営効率化や収益改善は喫緊の課題となっている。バスのダイヤ改正の際、最終便の運行後から始発運行前までの短い間に時刻表等の貼替え作業を行っているが、この作業はバス事業者の負担が大きく、運営効率化のための障害の一つとなってきた。 このような課題の解決に向け、2017年よりスマートバス停の取組みが始まっている。 スマートバス停の特徴としては、時刻表表示(直近の時刻の拡大機能)のほかにバスの現在位置情報表示、多言語対応、広告素材(業務素材)表示機能などがある。クラウドから情報配信することで、時刻表の貼替え作業の軽減を行い、バスの現在位置情報や自治体情報など豊富な情報配信機能により利用者へのサービス向上も実現する。 スマートバス停の筐体にはいくつか種類があるが、55インチから13.3インチまで設置環境に適したタイプを選ぶことができるようになっている。乗降者数が多く商用電源を確保できる場所には高輝度の繁華街タイプやコンパクトな市街地タイプを設置することで、バスの位置情報や動画広告など、より高度な情報を利用者へ提供できる。反対に乗降者数が少なく、商用電源が確保できない場所にはソーラーパネル・バッテリ搭載タイプや一次電池駆動タイプなどでコストを抑えた設置も可能。ちなみに日本全国には約52万停のバス停があるが、このうちの約80%が電源の確保できない場所に設置されている。 スマートバス停は試験運用期間を経て全国で25基(2020年12月現在)の本格運用が始まっており、今後も日本全国へと広がる見通しだ。 バス停のデジタル化を進めるメリットとして、バス業界のDXを実現させることが可能になり、単なる広告配信だけではなくビーコンやアプリを使ったWeb広告との連動など新しい可能性も見えてくる。 スマートバス停は、将来的に公共交通ネットワークの発展に寄与していく可能性を秘めているのではないだろうか。(K.O) 【参考サイト】 (株)YE DIGITALと西鉄グループが進める「スマートバス停」の取り組み https://www.ye-digital.com/jp/product/iotm2m/mmsmartbusstop/ http://www.nishitetsu.co.jp/release/2020/20_079.pdf