DSC EXPRESS
Vol.029

DSC EXPRESS Vol.029をお届けします。
毎月15日発行です。どうぞ宜しくお願い致します。

  • ステイホーム時代のOOHってどういうこと?

    ステイホーム時代のOOHってどういうこと?

    ビズライト・テクノロジーが10月8日に、インプレッションベースのデジタルサイネージに関するニュースリリースを出した。これは意欲的でもあり挑戦的でもある。おそらく今までここに目をつぶってきた交通広告関係者にとっては、一番見たくない内容だろうと思う。
    新型コロナ感染症拡大以降、「ステイホームにおけるアウトオブホームメディア」の存在そのものが問われている。関係者はこれに対する答えを考え用意し、実行する必要がある。残念だが感染症の行方は誰にもわからない。コロナに関してデジタルサイネージ関係者にできることは何一つない。コロナを無くすことも、電車に乗客を連れてくることもできない。もちろんそれは関係者のせいでも一切ない。つまりはどうしようもないことだ。
    その上で、どうするかという話である。何もしないか、何かをするか。何かとはなにか。何もしないでも今後も事業継続できるのは、極めて一部の事例やもともと強力な不動産的価値があるロケーションに限られる。それ以外はおそらく3年も持たないだろう。そしてこれは広告目的のデジタルサイネージに限ったことではない。例えば商業施設でも、同じ問いに対して我々はきちんと答える必要がある。
    こうした変化は、飲食業界でも起きている。都心部の飲食店ははっきり言ってもともと供給過剰だ。人口の多さに支えられて立地さえよければどんな店でも成立した。飲食の世界でも、テイクアウト、キッチンカー、ゴーストキッチンなどのビジネスが活況だ。人は食事をしないわけにはいかないから、その再編が起きているだけのことである。また、移動を伴わない旅行やショッピングとして、アマゾンは先月29日にAmazon Exploreのβテストを開始した。
    デジタルサイネージをインプレッション取引に移行させることが目的ではない。いま強く問われている「ステイホームでOOH?それ無理でしょ」いう疑問に対する答えを業界が用意できれば、やり方は何でもいい。(Y.E.)

  • OOHメディア(交通広告関係者)にエールを送る

    OOHメディア(交通広告関係者)にエールを送る

    10月1日から「Go Toトラベルキャンペーン」に東京都が加えられ、各地の観光地は賑わい、鉄道利用者も増えている。新宿や渋谷もかなり人々が戻ってきている印象で、駅の広告もテレビ局、ゲーム・アニメ、コミック、動画配信サービス、フードデリバリーサービスなどで埋まっている。業界関係者によると、電車や駅の広告の減少は、人々が乗らなくなったからと捉えられがちだが、広告主の宣伝費の縮小による影響が大きいという。なぜなら、他のメディアも減っているからだ。週に5日以上頻繁に鉄道を利用する人は減少したが、週に3~4日以上とすると7月時点で約8割いたという調査結果もある。写真は10月の平日午後6時過ぎの品川自由通路の状態だ。多くの通勤者がいることがわかる。7日間以上の掲出・放映期間があれば同じ人に接触させる頻度は減っても全体では多くの生活者に広告到達させることが可能という見方もできるのだ。
    ビデオリサーチの調査では「電車内や駅に広告があると安心する、ないと寂しい」と思う人が4割強にのぼり、ある面交通広告の受容性の高さも浮き彫りになった。一方で、人流解析データ・輸送人員を使った広告料金の設定が東急電鉄の一部を除くOOHメディアで試験的に導入されるなど広告費のダイナミックプライシングの動きが出た。しかし、高い割引率の販促企画も出ており、データをベースとするよりコストパフォーマンスが高く売れているのが実情だ。東急渋谷駅の大型LEDサイネージ「ビッグサイネージプレミアム」が年内完売するなど明るい兆しも出ている。交通広告関係者の皆さん、頑張りましょう!(K.Y.)

  • デジタルサイネージ
    NEWS解説

    パナソニックとコニカミノルタ、感染症の拡大防止対策を支援する映像監視システムを開発 記事元:IoTNEWS 10月7日

    i-PRO製のネットワークディスクレコーダーを、コニカミノルタのグループ会社であるMOBOTIX AGの「MOBOTIX ネットワークサーマルカメラ」とコニカミノルタが開発したMOBOTIXサーマルカメラアプリケーション「Temperature Screening App」に連携させ、非接触で人間の体表面温度を計測するとともに、MOBOTIXサーマルカメラで撮影した可視映像とサーマル映像をネットワークディスクレコーダーに記録する。
    発熱者を検知した場合、管理担当者へ通知もしくはデジタルサイネージの画面案内を行うことで、対象者への声がけや誘導といった入場管理の契機とすることができる。また、遠距離からの体表面温度測定が可能で、人の流れを妨げることなく測定でき、測定する側・される側双方の負担を軽減できる。

    ニューノーマルの時代に価値を再発見されるものもあれば、これはほんとは不要だったのかもとじんわり烙印を押されてしまうものもある。そしてそのたいがいは、「ニューノーマルだから」ではなく、「立ち止まってあらためて見直されたから」だったりする。デジタルサイネージは、何の役にたつのか? デジタルサイネージの価値は何を以て測れば良いのか? 私たちはようやく、そういうことを追求するフェーズに到達することができるのだとも言えるかもしれない。
    新しい役割の創出においても価値の測定においてもキーになる、デジタルサイネージとカメラや各種センサーを連動させる取り組みは、この5年ぐらいで技術的にも費用的にも実用レベルになってきたと思う。あとは、需要と実践だったのだ。その機会がいやおうなく押し寄せてきた。
    デパートなどの入口で、すっかりおなじみになった検温風景。どんな事態にも対応できそうなベテラン社員とおぼしき方々が対応していることも珍しくない。今はそれで良いかもしれないが、いつまでもこの体制は続けられないだろう。
    今回取り上げたNEWSに登場するのは、そのかなりの部分を置き換えることをめざしている現時点ではハイエンドとも言えるシステム製品だ。マスク非装着のお客様を見つけたり、追跡したりもできるようである。平常時ならやや実験的な設置になりそうなところ、多くの人の役にたつことが期待されていて、その場に居合わせる全ての人が真剣に利用してくれて、結果を日々評価できて、それを元に改善もできる。これは技術者から見れば夢のようなことである。
    このフェーズにおいて投入されるシステムのポイントは、アップデートのしやすさではないだろうか。まだまだわからないことだらけである。だが、進めなければいけないことなのだ。デジタルサイネージ業界が、さまざまな場面での知見を束ねて進化を牽引できれば良いと思う。(Y.K.)

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