世界の航空旅客の回復と空港サイネージの発展への期待
非日常的でプレミアムな空間に合わせた、街中ではなかなか見かけないイノベーティブな広告用のサイネージは、視認者の印象に残るだけでなく、旅の高揚感をさらに高める。そこで今回は世界の印象的な空港デジタルサイネージの例をいくつか紹介する。
世界の航空旅客数の回復が進んでいる。世間ではコロナ禍を経て、街は以前のような活気を取り戻して久しく感じるが、航空旅客数の観点でいうと未だ2019年の水準に達してはいない。しかし、先日の国際航空運送協会(IATA)の発表によると、23年11月の航空旅客数が2019年の同月の99%にまで達したようだ*。アジア太平洋圏ではまだ回復に時間がかかる見込みではあるものの、世界全体ではいよいよコロナ前の水準へ回復、そしてそれを上回る航空旅客数への期待が現実味を増してきている。
航空旅客の窓口である空港では、以前よりデジタルサイネージが活用されてきた。案内表示など、利用者の利便性の向上のためはもちろんのこと、広告用のサイネージも見逃せない。非日常的でプレミアムな空間に合わせた、街中ではなかなか見かけないイノベーティブな広告用のサイネージは、視認者の印象に残るだけでなく、旅の高揚感をさらに高める。そこで今回は世界の印象的な空港デジタルサイネージの例をいくつか紹介する。
まずはフランスのシャルルドゴール国際空港。免税店街へ続くエリアにある巨大なアーチ状のデジタルサイネージは、買い物の気分を最大限に高めてくれそうだ。
また、アラブ首長国連邦のドバイ国際空港には、荷物受取エリアからの出口へ向かう通路に、壁から天井まで90度に折れ曲がったような巨大なサイネージがある。おそらくほとんどの通行人は、通路を通りながら、天井を見上げているのではないだろうか。
最後はアメリカのロサンゼルス国際空港にあるデジタルサイネージだ。複数のデジタルパネルがパズルのように組み合わさって1つの映像が流れる、印象的なデザインのサイネージだ。
こうしたアイコニックなサイネージで接触した広告は、旅の高揚感とともに視認者に非常に印象的に、かつポジティブに受け取られるだろう。実際、空港の広告で接触した商品は、別の広告で接触するより、単価が高く感じられるという結果が示された調査もある*。
今後、世界の航空旅客数が回復していくとともに、空港という特別な環境を活用した新しいデジタルサイネージがさらに発展していくことに期待する。(N.N)
*参照:https://www.iata.org/en/pressroom/2024-releases/2024-01-10-01/
*参照:DSC EXPRESS Vol.132より