今、この場で伝えたい情報を 伝えたいひとに伝わる
デジタルサイネージの魅力
場所と時間に合わせてターゲットを絞り訴求できるデジタルサイネージ。
その場、その人に対して何を訴求するかにより、情報提供手段としてスマホでは伝わらない情報を伝えられ、その利用価値を上げることができる。身近なところでもデジタルサイネージの活用にこんなヒントが・・・
子連れにとって休日のショッピングモールのフードコートは戦場だ。空いている席を確保し、ぐずる子どもをなだめ、長い行列に並んで、やっとランチにありつける。このストレスから少しでも解放されるために、最近フードコートでは某ファストフードのモバイルオーダーをよく利用する。行列に並んだ場合、およそ並んでから商品を受け取るまで30分かかるが、モバイルオーダーは並ぶ時間が省け注文してから10分ほどで商品を受け取ることができる。手軽に自分のスマホで焦らず注文でき、支払いはQR決済やクレジットカードでキャッシュレス、おまけに席まで商品を届けてくれるという大変便利なサービスだが、実は思ったより利用されていない模様。明らかにモバイルオーダーの注文が早く快適であるはずなのに、なぜ並んで注文する人が多いのだろう?
スマホを持っていない、使いこなせない、現金以外の支払いができない(したくない)、スマホの小さい画面で注文するのは煩わしい、そもそもモバイルオーダーを知らない人は並ぶしかないが、モバイルオーダーの存在を知っているのに使わない人たちもいるはずだ。その理由をいくつか考えてみた。まず登録や支払いの紐付けが面倒と感じる人、またデリバリーの時しか使えないと誤解している人もいるだろう。私の場合は、目の前にお店があるのだから、並んだ方が早いに決まっていると思い込み、以前は行列に並んでいた。これらの理由をまとめると、実はそのサービスをよく知らないということが要因と言えそうだ。
このように、よく知らないから使われないサービスを、もっともっと認知してもらいたい、そして店舗がさらなるデジタルの活用を増やすためには、もちろんテレビCMも有効だが、実はデジタルサイネージが最適ではなかろうか。なぜなら、サイネージは場所と時間とターゲットが特定できるからだ。想定されるターゲットに合わせて曜日や時間帯ごとに表示内容を変更できるので、平日の朝や夕方は通勤・通学する人向け、土日祝日はファミリー向けのコンテンツなど、いまココで訴求したい情報をタイムリーに配信できるのだ。
となると今回のケースでは、行列に並んで待っている間に、新メニューのPRやデザートメニューの訴求はもちろん、モバイルオーダーアプリの使用手順や、注文を受け取るまでの平均時間をリアルタイムで表示するなど、モバイルオーダーが実際にどれくらいで注文を受け取れるのかわかれば、アプリを使ってみようと思うひとを増やすことができるかもしれない。
他にも、デジタルサイネージが「並んでいるあなた!」と呼びかけ、「席で注文できる」「後ろの人を気にせずじっくりメニューを選べる」「決済方法も選べて簡単」などのモバイルオーダーのメリットを”その場で” ”その人” に訴えることにより、リアリティの中でモバイルオーダーのメリットが伝わるであろう。
デジタルサイネージは、通りすがりでは一瞬でインパクトある情報を伝える必要があるが、今回のように行列に並ぶひとに向ける場合は待ち時間にじっくり商品やサービスの詳細情報を具体的に伝えられ、そのメリットはとても大きい。静止画より注目を集められる動画で、さらに音声も入ると、見るひとを引き付ける。デジタル技術の発展にともない、デジタルサイネージは性能アップや低コスト化が進み、IoT化し新たな進化を遂げている。
ファーストフードやフードコート等でメニューの魅力を訴求するデジタルメニューボードは定番となりつつあるが、これからさらに新しい技術を使った精度の高い広告配信や映像表現が可能になるに違いない。そして、この新しい技術がどう生活者の背中を押していくのか楽しみだ。(E.M)