派手さは無くても存在感。
チル空間に導入された窓型のサイネージ。
華美なコンテンツや、インタラクティブな仕掛けの無いサイネージでも、空間の目指すコンセプトと調和すれば、大いに有益な存在となる。今回は先日訪れた都内サウナ施設を好例として紹介したい。
2022年10月18日、東京 恵比寿にオープンした「Ledian Spa(レディアン スパ)」。
"高級サウナで「贅沢Chill Time」"という謳い通り、高級感漂う空間で上質なサウナ体験ができる。
久しぶりのサウナで汗をかき、気持ち良く過ごせたのはもちろんのことだが、施設の演出が、より心に贅沢を感じさせてくれるのだ。サウナの合間には、くつろぎ用のスペースが用意されている。移動すると、一段照明が暗く、かすかに響く音楽とアロマの香りがする。そこで、寛げる椅子にゆったりともたれる。すると、目に優しい森の映像が目に飛び込んでくるのだ。
10面x1・3面x1の構成となっているこのサイネージ、周囲のフレームを壁面と合わせたり、ディスプレイ間のベゼルを利用してさながら窓のように見せたりと、なるべく空間に溶け込ませる工夫もある一方、高い輝度でくっきりと映像を映すため、サイネージとしての存在感もしっかり持ち合わせる。固定された視点からの森の映像は、高精細で美しく、チルスペースのコンセプトを視覚的に演出しており、聴覚・嗅覚と相まって一層心地よく感じた(映像は時間帯で切り替わるようだ)。
所謂リゾートホテルが五感に気を配り、その価値を提供するために海を臨む中庭を整えることと同じように、都心に「贅沢Chill Time」空間を作り上げるために雑多なコンテンツを排除したサイネージ映像が採用されていることに、驚きと改めて可能性を感じた。
機会があれば、ぜひ体験してみて欲しい。
(K.S.)