東日本大震災、情報端末として灯をともしたデジタルサイネージ
3月11日午後4時すぎ、(デジタルサイネージ(電子看板、参照リンク)機器を置く東京大神宮(東京都千代田区)、湯島天神(文京区)の被害調査に行った社員から相次いで電話が入った。その後、大手コンビニエンスストア、ファミリーマートの東京都、埼玉県内の20店舗に設けたデジタルサイネージにも影響がないことを確認できた。
大地震の直後、デジタルサイネージ向けに臨時ニュースを速報するとともに、東京大神宮と湯島天神に社員を向かわせた。両神社では3月から本格的にデジタルサイネージが稼働したばかり。さあこれから、というところだった。
ファミリーマートの機器が店内設置なのに対し、両神社は屋外。大地震でも倒れない設計であることは分かっていても、「万が一にも参拝者に影響があっては…」との思いから社員をやった。
震災当日は24時間営業のファミリーマート向けに徹夜で大震災関連ニュースを配信。YouTubeの「産経新聞速報動画」にもコンテンツをアップし続けた。12、13日は朝から夕方まで神社でも放映。災害時こそデジタルサイネージのニュースは必要なのだと確信し、災害用伝言ダイヤルの案内コンテンツも制作した。
だが、デジタルサイネージを取り巻く環境は一変した。東京電力の発電所が大震災で止まり、節電に産業界も協力することになった。13日午後8時、ファミリーマートのデジタルサイネージの電源を一斉に切った。街の大型ビジョンもみな灯を消し、14日からは両神社でも放映をやめた。
デジタルサイネージへのニュース配信はストップしたものの、YouTube向けは続けることにし、都市部で大地震が起こった際の対応策など新たなコンテンツもつくった。
節電に協力するが、いつまで真っ黒な画面にしておくのか。デジタルサイネージが持つ情報端末としての役割をどうアピールすればいいのか。再開のタイミングを探る日々が続いたが、デジタルサイネージの有用性が両神社に理解され、今月1日に放映時間を短縮する形で再開した。大震災関連ニュース、天気予報、義援金案内などを放映しており、ファミリーマートでも近く灯を入れる予定だ。
東京大神宮で放映状況を確認していると、画面に映し出された境内での募金活動案内をみたカップルが、財布を手に募金箱に向かい始めた。
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1104/20/news035.html