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Vol.206
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鉄道広告を活用したインパクトのある広告事例
2025年9月に見られた、デジタルサイネージとアナログの媒体をそれぞれ上手く活用し、インパクトを与えていた鉄道広告の出稿事例を幾つかピックアップしてみたい。
車両や駅構内に掲出される鉄道広告は、繰り返し接触による認知度向上、幅広いターゲットへの訴求力、エリアやターゲットに合わせた媒体選択などの様々なメリットを持ち合わせた広告媒体だ。また、広いスペースを有効に活用した演出を施すことで、高い視認率を得ることができる。今回はデジタルサイネージと、ポスターやシートなどのアナログの媒体を上手く活用し、効果的な演出を施していたインパクトのある広告事例を幾つかピックアップしたい。

■アディダスジャパン
過去にジェイアール東日本企画が主催する「交通広告グランプリ2020」においてグランプリを受賞しているアディダスジャパンは、2025年8月28日よりグローバルブランドキャンペーンの一環として、東京2025世界陸上に挑む二人のアスリート、村竹ラシッド選手とノア・ライルズ選手を起用した新キャンペーンを開始。JR新宿駅東西自由通路に設置される長さ45.6mの大型LEDビジョン「新宿ウォール456」では、『YOU GOT THIS(大丈夫、いける。)』のメッセージと共に、トラックを駆け抜ける二人の選手を映し出し、その対面にある合計39面に及ぶ「J・ADビジョン」や、JR新宿駅南改札内をジャックする「新宿BBB」といったデジタルサイネージでも、動画を上手く活用した躍動感溢れる二人の選手を映し出すCMを放映。
<新宿ウォール456>
<J・ADビジョン/新宿BBB>
また、東京メトロ銀座線・丸ノ内線の広告貸切電車では、車両通路に競技場のトラックを模したシートを貼り、更にハードルを模した中づり広告を吊るなど、趣向を凝らした演出で車両全体を広告でジャックしていた。

■TBS『東京2025世界陸上』
東京2025世界陸上を放送するTBSは、東京メトロの車両デジタルサイネージで、やり投の北口榛花選手、棒高跳のデュプランティス選手、走高跳のマフチク選手などが登場するCMを放映。

また、東京メトロの新宿駅に設置される大型の駅広告「新宿メトロスーパープレミアムセット」では、『運動会は、続いている。』のメッセージと共に、選手の切り抜き画像、手書きのポスター、標語、新聞、画鋲文字「キター」などを散りばめ、周囲を本物のティッシュフラワーで囲んだ、学校の掲示板を模した手作り感満載のユニークな広告を掲出。

■白泉社『ベルセルク』
人気漫画『ベルセルク』の最新刊43巻を2025年8月29日に発売した白泉社は、東急渋谷駅に設置される「田園都市線渋谷駅階段壁面サイネージ」にて、『死神襲来。』のメッセージと共に、ベルセルクに登場する敵役キャラクターのラクシャスが暗闇から姿を現し、目を光らせながら不気味に漂うインパクトのあるCMを放映。

また、同じく東急渋谷駅に設置される大型セットボード「田園都市線渋谷道玄坂ハッピーボード」では、『死神襲来。』のメッセージと共に、巨大なラクシャスの仮面が立体に浮き出た、アナログ媒体ならではの趣向を凝らしたインパクトのある広告を掲出。

以上、デジタルサイネージとアナログの媒体を上手く活用し、インパクトを与えていた広告事例を幾つかピックアップした。鉄道広告は広いスペースを有効に活用し、ダイナミックな演出を施すことでインパクトを与えることができる魅力的な広告媒体だ。特に今回ピックアップしたアディダスジャパンは、そんな特性を生かした象徴的な事例で、広いスペースと競技場のトラックを融合させ、広告を見ている人たちを陸上の世界に誘いブランドイメージを植え付けている。
場面展開や音や光といった演出効果が図れるデジタルサイネージ、立体的な仕掛けやダイナミックな表現などでインパクトを与えることができるアナログ媒体、それぞれの良さを上手く活用しミックスさせた広告展開は、単一媒体による広告出稿以上の効果が期待できる。
今回は鉄道広告をピックアップしたが、それ以外にもOOH領域のメディアではインパクトのある広告事例をよく目にする。これからもそういった広告展開に注目していきたい。
(K.S.)
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