メディア化する施設──MIYASHITA PARKでの新たな
プロモーション体験価値
単なる施設ではなく、館全体がひとつのメディアとして機能するプロモーションが渋谷の商業施設「MIYASHITA PARK」で始まっている。サイネージ、音楽、フォトスポットなどを通じて、来場者は施設全体で体験する新しい形を享受する。
渋谷の商業施設「MIYASHITA PARK」において、10月11日、食とエンターテインメントを融合させた新区画「Park in Park」がオープンした。これは、三井不動産が掲げる「コマーシャル・サービス・プラットフォーマー」戦略の一環であり、施設全体の価値を最大化するため、さまざまなサービスや体験を組み合わせて提供する取り組みである。

同日に開設された“オアシス ライブ‘25 トウキョウ ファン ストア”は、当該戦略の第一弾である。「MIYASHITA PARK」館内に足を踏み入れると、入口からおおよそ10〜50m間隔で配置されたサイネージが関連情報を放映している。9月のリニューアルで追加されたという42面のサイネージも含め、館内のサイネージやBGM、フォトスポットもすべてオアシス(Oasis)に統一されており、館内を移動することでブランドや音楽を体感できる仕組みだ。
筆者が施設内を巡る間にも、オアシスのTシャツを着た人々が各所で足を止め、映像を見たり音楽を聴いたり、写真を撮ったりしていた。音楽とサイネージの組み合わせにより、特定の店舗に限らず館内のどこにいてもプロモーション体験が途切れない点は特に印象的であった。 
館内のフォトスポットには柱型のLEDサイネージがそびえる
館内各所には導線に沿った様々なサイネージが設置されている
施設のどこにいてもプロモーション体験が続く
さらに、来年2月には渋谷駅側の遊歩道やエレベーター外壁への大型サイネージ設置が予定されており、施設全体でのプロモーション体験価値はさらに向上するであろう。特定店舗内にとどまらず、施設全体が一つのメディアとして機能するプロモーションの可能性を示す事例である。自分の推しが取り上げられていれば、来場のきっかけとなり、さらに「MIYASHITA PARK」そのものも、こうした体験型施設の舞台としてSNSでの拡散も期待できるであろう。
(K.S.)