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Vol.184

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  • 「2024年 日本の広告費」を読み解く~デジタルサイネージとOOHの現状~

    「2024年 日本の広告費」を読み解く
    ~デジタルサイネージとOOHの現状~

    さる2月27日に(株)電通は「2024年 日本の広告費」を発表しました。このレポートは永年にわたって毎年、日本の総広告費と媒体別・業種別広告費を推定・公開している調査レポートで広告業界では注目されている方も非常に多いと思います。本号では近年、デジタルサイネージが押し上げているOOH(交通・屋外)分野を含めて広告市場のトレンドをチェックしてみましょう。

     2024年の日本の総広告費は、7兆6,730億円(前年比104.9%)と3年連続で過去最高を更新した。2020~21年はコロナ禍の影響で落ち込んだものの2022年以降はコロナ前の広告費を上回り、右肩上がりの成長を続けていることになる。なお過去のレポートを遡ってみると、2002年「ITバブル崩壊」、2008年「リーマン・ショック」、2011年「東日本大震災」等々、国内外の経済に影響を与えたトピックスに合わせて落ち込みが見られる。また図表4(レポートPDFに掲載)からわかるとおり、広告費はその年の国内総生産(GDP)の1%強でほぼ連動して推移しており、企業の経済活動やいわゆる景気を反映していることがわかる。

     媒体別の前年比とシェアはレポートの図表2に示されている。

     マス4媒体では新聞を除くテレビ・雑誌・ラジオ広告がそれぞれ前年超え、インターネット広告費は前年比109.6%と2ケタ台の伸びではなかったものの堅調な伸びを維持してそのシェアは国内広告費の50%に迫る勢いで拡大を続けている。このインターネット広告は1990年代後半からの国内でのインターネット普及に合わせて急速に広告収入を伸ばして、2009年には新聞広告を2019年にはテレビ広告を抜いて、この四半世紀で広告市場の主役になっている。

     デジタルサイネージが活用されているOOH分野は本レポートでは「プロモーションメディア広告費」のジャンルに掲載されている。「屋外」は対前年100.8%、コロナ禍からの復調が遅れた「交通」分野は108.5%と堅調に売上を伸ばしている。(交通分野は広告制作費を含んでいない)

     レポートによると「屋外広告」ではラグジュアリーブランド、飲料、コンテンツ、人材系を中心に多くの業種で活用され、屋外ビジョンは渋谷、新宿、表参道など都心部で需要が高まり販売価格の値上げなどもあり成長、また「交通広告」では車内ビジョン、中づり、ステッカーなどの車両内媒体が前年を上回り、駅媒体も新規大型媒体の新設や大型サイネージや大型ボードなど「ジャック系媒体」への高い需要により堅調に推移したとのこと。日々の実務に携わっている皆さんには実感できるトレンドと言えるのではないだろうか?

     ちなみにOOH(交通+屋外)のシェアは5.9%で前年(2023年)から横ばいとなった。

     都心部では屋外ビジョンが街の主要スポットに続々と新設され、駅ではインパクト型媒体がターミナル駅を中心に話題となっている。また本連載のVol.182で述べられているようにOOH市場ではデジタルシフトが急速に進むとされる一方、広告業界ではOOH、テレビ、インターネット広告のトリプルメディアでの展開(トリプルメディアプランニング)が、認知や態度変容をアップさせる「クロスメディア効果」を生むと言う点をアピールする動きもある。近い将来、これらのDOOHメディアがマーケットプレイスでネットワークされた時にそのプレゼンスとメディアパワーは広告主にどのように評価・活用されていくのか、その可能性に注目したい。(T.Y.)

    ※出典:「2024年 日本の広告費/(株)電通 2025年2月27日発表」(図表を含む)

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