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Vol.204

DSC EXPRESS Vol.204をお届けします。
毎月5日、15日、25日発行です。どうぞ宜しくお願いいたします。

  • 大阪・関西万博が遺すもの

    大阪メトロの公式サイトより

    大阪・関西万博が遺すもの

    大阪・関西万博が閉幕した。猛暑の中の開催であったが、圧倒的なコンテンツの力により、事前のさまざまな予想を覆す成果を上げたと言えるのではないか。大阪の街を行くと、街にも、何より人々の記憶に多くのものを残したことを感じる。

     
     筆者は開催期間中に3回、関西を訪問した。東京にいるときは東京の人に見えているようだが、れっきとした関西ネイティブで、1970年の万博の記憶もうっすら残っているので、今回だんだん盛り上がる街や人の様子を見るのはなんだか楽しかった。

     印象深かったのは、巨大ターミナル駅である大阪メトロ梅田駅で御堂筋線の顔認識改札を実際に利用している人を見ることができたことと、夏に利用したタクシーの運転手さんが心から万博を楽しんでいる話を聞けたことだ。

     9月の朝、顔認証改札を通っていたのは若い女性で、軽やかに顔パススルーしていた。前回1970年の万博の前には(前回の大戦の前には的なフレージングだが)、会場最寄りの阪急北千里駅に磁気式自動改札機が世界で初めて導入された。切符が機械を通りぬけるのが不思議で、当時、地元の駅にも自動改札機ができたとき、子供ながらにワクワクしたものである。万博と一緒に未来の世界が来るんだなあと思ったような気がする。今回、一気に95%以上の駅に顔認証改札を導入した本気の大阪メトロ。梅田駅には2020年のデジタルサイネージアワードグランプリを受賞したサイネージもある。次のアワード2026にも意欲的な作品で応募してくださるのではないかと、期待してしまう。

     8月のタクシー運転手さんは、「万博のお客さん、どうですか、行かれました?」と訊いてみると、「行きました、行きました、行ってみるとすごかったですわ、未来の自分に会える、いう展示の体験(ヘルスケアパビリオンのこと)が良かった。暑いし帰りが混んでたいへんやったし、けど、また行きたくなる。次が3回めで、4回めのチケットも買ってあるんです。」とのこと。話をきいて一番良いなと思ったのは、一族で楽しんで来られた様子で、ドローンショーを見た図工大好きな小学生のお孫さんが「僕、こんなん作ってみたい。」とおっしゃったとのこと。ぜひぜひ作る人になってくださいな、と、伝えてもらうことにして、タクシーを降りた。

     
     大阪・関西万博が遺したもの。たぶん、関西の街の多くの人たちに、万博で見たあれやこれやを、そしてもっと良いものを作ってみたいとという気持ちが残ったはず。結果が出るのは20年後ぐらいだろうか?

    (Y.K.)

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