渋谷「東口4階スカイウェイ(仮称)」は新世代アクティビティの象徴空間に
2030年に完成するというヒカリエからハチ公広場、井の頭線への歩行者空間について、2025年7月に完成イメージが公開された。しかし、あと5年間、まだまだ、変更がありそうだ。巨大迷路のようでもあり、ユーザが楽しめる工夫を、さらに期待したい。
2025年7月、ようやく渋谷駅の「東口4階スカイウェイ(仮称)」の工事現場が報道向けに公開された。東急、JR東日本、東京メトロの3社で2030年開通を目標に整備を進めている。7月8日に、【渋谷駅街区計画、最終章へ】完成イメージ動画も公開されている。
他にも多くの完成予想イメージや図面が公開されているが、動画を観ないと良く分からない。しかしながら、よく観ても、疑問が多く残るほど、ここの開発と歩行者空間の行方は、まだまだ予断を許さない。
特に、銀座線の改札を出て、ホーム屋上デッキからの動線と合流して、どのように井の頭線改札に辿り着けるのか、あるいは、その逆ルートについては、残念だが、イメージ動画では描かれていない。通勤・通学で最も多くのユーザが利用する空間については、多分、まだ、改良中という事だと思うが。ハチ公前広場の方に細い道を複雑に曲がりながら、唐突に、井の頭線改札前の広い吹き抜けホールに出てきてしまう。かつての銀座線改札と繋ぐ緩やかなスロープのある大きな空間だ。ここでは、よく、海外からの観光客が窓際に並んで、渋谷、宮益坂方面のデジタルサイネージを眺めている。
デジタルサイネージの花形は、駅前広場に面する大画面というマクロな形態になるだろうが、歩行者動線上の要所に数多く配置されて、ミクロに、できれば相互連動でサービスしている形態の方も、期待効果としては大きい。乗換に早歩きしながらも、ふと、目に入ったシーンが気になって手元のスマホで確かめる、あるいは、立ち止まって30秒くらい観て、やはり、スマホで確認というのは、今では、かなり一般的なスタイルになっている。
高度に入り組んだ歩行者空間の構成となるだろう「東口4階スカイウェイ(仮称)」等には、1,000面規模のマルチスクリーンで世界一魅力的なデジタルサイネージ演出が繰り広げられるだろうことを期待するわけだが、いわゆる、現状よくある「エキナカ」のようにはなってほしくない。リアル店舗を囲い込んでしまうような作り方ではなく、デジタル渋谷を目指してほしい。ふらっと遊びに来て、どこ行こうかなあとシミュレーションするとか、目指すショッピングは大画面で確認してモバイルオーダー決めてからお店に取りに行くか、候補を絞り込んでから買いに行くとか、ついでに、近くの面白いところも目星を付けるとか。
要するにデジタルツインな使い方である。ポイントは、自宅ではなく、いつも歩いている通路か小さな広場の大画面で、リアルに観る、友達と一緒に観る、あるいは、横でもっと面白そうなものを観ている知らない人を盗み見する、というような体験が楽しく安全にできる空間とすることだ。
最近、推し活のメインイベントとして、グループメンバーのうちでも異なる推しのユーザ同士が、互いの推しグッズを交換するコミュニティイベントがある。古くはラフォーレ、原宿、コミケのような場が、いまは、ハラカドのあるフロアでそれぞれのコミュニティのお作法に則って運営されている。当然、横の大画面には推しのプロモーションが流れ、Tシャツのオリジナルデザイン作成コーナーもある。ここで知り合って、ネット上でも交換が行われ、決して安くはないものも多いが電子決済で購入、ゆうパケットポストで送り合う。こんなサイバー&リアルなアクティビティの象徴空間が渋谷駅に生まれる事を期待する。
(N.S.)

文中で参照した関連サイト
渋谷文化プロジェクトの7月8日記事
【レポート】東西をつなぐ「未来の空中回廊」 渋谷「スカイウェイ」工事現場を歩く | SHIBUYA X WATCH|渋谷文化プロジェクト
You Tubeの公開動画
【渋谷駅街区計画、最終章へ】完成イメージ動画を公開