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Vol.186

DSC EXPRESS Vol.186をお届けします。
毎月5日、15日、25日発行です。どうぞよろしくお願いいたします。

  • デジタルサイネージアワード2025 作品応募受付開始!

    一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアムは、デジタルサイネージアワード2024の応募受付を開始しました。詳細はこちらか上記バナーにてご確認ください。皆様のご応募、お待ちしております!

  • 進化したSoC型サイネージで、運用はもっとスマートに

    進化したSoC型サイネージで、運用はもっとスマートに

    従来のSTB型サイネージに比べ、SoC型は配線が不要で設置や保守の手間を削減でき、コスト面でも優れている。性能も向上し、高画質再生や遠隔操作にも対応可能。用途に応じてSTB型との使い分けも進む中、運用の効率化を図れる選択肢として、今こそ注目すべき存在として紹介したい。

     サイネージ市場は裾野を広げつつあり、今まさに変革期を迎えている。これまで主流だったSTB(セットトップボックス)型のサイネージ構成は、表現の自由度や再生性能に優れている。一方で、設置や保守の手間、複数機器のトラブルといった課題も抱えていたのも事実だ。近年、SoC(System on Chip)型のサイネージが再び注目を集めている。SoC型サイネージは、映像表示用のソフトウェアをディスプレイ本体に内蔵しており、外付けのSTBやHDMIケーブルを必要としない。このシンプルな構成によって、設置コスト・工数・不具合リスクを削減できる。数年前までは「SoCでは性能が不足している」と言われていたが、それはすでに過去の話だ。近年のSoC搭載ディスプレイは、Android OSなどを搭載し、4K動画や静止画の再生、URL表示などのネットワーク連携にも対応している。スペックは向上しており、従来はSTB型でしか実現できなかったような表現力の高いコンテンツもSoC型で再生可能な時代に入っている。また、サイネージコンテンツを設定するCMS(Contents Management System)のみならず、ディスプレイ自体の遠隔制御も実現している。たとえば、電源のオン・オフ制御、ディスプレイの再起動、キャプチャ取得なども可能だ。これらすべてがインターネット経由で制御できる。

     ★以下の図1では、基本的なネットワーク構成を示している。

     ▲インターネットとクラウドサーバを活用しリモートで制御

     設置現場におけるメリットも大きい。配線が不要なため、壁掛けや埋め込みなどの省スペース設置が容易で、デザイン性も損なわない。STB用の電源や設置台も不要なため、施工の自由度が大きく向上する。多拠点への一斉導入や、短納期の設置案件にも適している。さらに、一体型構成により機器トラブルの発生源が減る。配線の接触不良やSTBの熱暴走、電源断といった心配が少なく、長期的な安定稼働が実現しやすい。保守対応にかかる人件費や移動コストの削減も期待できる。費用面のメリットも見逃せない。STBや周辺機器が不要なため、ディスプレイ本体のみで運用を開始できる。導入規模が大きくなるほど、コストメリットは顕著に現れる。もちろん、すべてのケースでSoC型が最適とは限らない。複雑なインタラクティブコンテンツの再生や、外部システムとの高度な連携が求められる場面では、今なおSTB型のほうが適しているケースも多い。そのため、現在はSTB型とSoC型を併用するハイブリッドな運用スタイルも広がりつつある。たとえば、単面でのシンプルな放映にはSoC型、複数面での同期再生やシステム連携が求められる場合にはSTB型、といったように、運用目的に応じた使い分けが可能だ。

     サイネージをもっとスマートに、もっと安価に、もっと手間なく運用したいと考えるなら、今こそSoC型を選択肢に加え、比較検討を進めるべきタイミングだ。STB型と比較しても、設置性・コスト・運用のしやすさという点でSoC型サイネージは大きな進化を遂げている。表現の自由度だけでなく、現場での使いやすさを求めるなら、SoC型という選択肢は、これからのサイネージ運用においてますます現実的なものになっていくだろう。

    (T.W.)

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