安全で楽しく過ごせる街とデジタルサイネージ
~銀座線渋谷駅屋上より~
それでなくても工事現場が複雑すぎて大変なのに、規制強化が被せられて楽しむどころではなくなりそうな街に、デジタルサイネージがもっと貢献できるのではないか?
最近の渋谷は、路上飲酒禁止とか、ハロウィン休業とか、おおよそ、安全に楽しく過ごせる街というイメージとは程遠い方向に変化しつつある。この調子でいくと、2024年のカウントダウンは、いったい、どんな冴えない街の姿を露呈する事になるのか心配だ。
渋谷だけに、いまや、各国メディアも参加して世界中にリアルタイムに発信されてしまう。海外からの観光客もどんどんSNSに投稿するので、あっという間に、渋谷の街のグローバルブランドも上下することになる。
路上飲酒もハロウィン騒ぎも、多くは、地元あるいは日本人の得意とするスタイルではないので、規制については、主に、海外客向けに強めの基準で設ける事になってしまうのだろうけど、そのせいで、大半の善良な人々が迷惑を被るのは心苦しいばかりだ。
こうした状況に対して、街の限定エリアに情報発信し、かつ、受け取った人々の反応を収集できる効果的なツールであるデジタルサイネージ(DS)の活用を、もっとアピールしたい。
街の広場や街頭に情報発信・誘導、カメラやマイクで監視・分析、といった極端な構図にするのは危険だが、既にそれらは機能的に装備されているので、問題はオペレーションとその結果の持続的なユーザー評価が重要となる。DSは、街とそこで活動する人々との会話のためのデジタルメディアであるべきだ。
残念ながら、現状のDSは、どうも発信の一方通行であるケースが多く、街のアクティビティとは遊離していて訴求力も弱い。街で安全に楽しく過ごしていただくために、目の前で活動する人々に話しかけ、想いや意向を引き出したり確認したり、もっと丁寧なインタラクションができないものか?まさに、AIの活躍の場となるはずだし、プライバシー問題をクリアしつつ、近隣の様々なDSが、協調し、時には一斉に同じアクションをとったり、街角ごとの事象に合わせて手分けしたり、そのやりとりや履歴の積み重ねが街の知識基盤となって、デジタルツインのプラットフォームが形成される。
ところで、渋谷開発はいったい、今、どれくらい進んだのだろうか?渋谷駅周辺の動線は、相変わらず4次元的に複雑怪奇で、一歩間違ってしまうと、直ぐ近く、あるいは、直ぐ上にあるはずの目的地に辿り着けない。最近は、工事現場でさえ囲いにDSが埋め込まれているが、渋谷駅周辺の臨時通路の壁には、相変わらず張り紙が賑やかなだけだ。ひょっとして、HMD(Head Mounted Display)を装着して覗けば、最終イメージや街角のアクティビティがMR(Mixed Reality)等によって観る事ができるのだろうか。
新築ビルには外壁のみならず、必ず多数の大型ディスプレイが設置されるし、既存ビルの屋上などにも、どんどん大規模LEDが建ち続けている。どこがフェイクコンテンツを流しているのかなど、とうてい判別できる状態ではない。せっかく、面というか、インターフェースが増えているのに、いまのところ、渋谷のガラクタ画面といわれても仕方がない。いくつかの街づくり関連団体や公的なミニFM局も活動中だが、コーディネーションやガバナンスには有効ではなく、かといって区役所に頼るのも違うように思う。
銀座線から井の頭線まで快適に移動できるようにとか、街イベントを楽しく運営するためにとか、災害時にDSが自分のスマホと連動して安全に導いてくれるようにとか。これらの実現のためには、街のデジタルメディアの要であるDSと、解析ツールのホープであるAIが、ちゃんと協働して動いてくれればよいのだが、街のオペレーション体制と必要技術とを有意に統合整備するという事が難しい。日本がデジタル化やDXで圧倒的に遅れている理由が、こんなところにも現れている。
<雑記>
■マイナビの都市生活学部紹介トップビジュアル
https://shingaku.mynavi.jp/gakkou/948/
■2030年未来の渋谷CGプレスリリーステキスト
https://www.value-press.com/pressrelease/46805
(N.S.)