デジタルサイネージのコンテンツ(初級編)
デジタルサイネージは街のあらゆる場所に設置され、なくてはならないメディアとして日常生活に広まっている。放映されるコンテンツはサイネージの目的・用途・場所に合わせて、さまざまな種類・手法が存在しており、テキストや画像、動画などさまざまな形式にのみならず、htmlやインタラクティブに作用するもの、空間のBGM・香りなど、幅広い範囲をデジタルサイネージの「コンテンツ」とされている。
今回は、初級編として、デジタルサイネージコンテンツを「販売促進」「広告」「インフォメーション」「演出」の4つに分けて、お伝えしようと思う。
1.販売促進コンテンツ
デジタルサイネージが設置されているロケーションで、販売している商品の購入を促進するためのコンテンツ。
デジタルサイネージは購買行動の起きる場面で使うことができ、直接的な衝動を促すことができるリーセンシー効果(直前に接触した広告が購買に影響を与える効果)の高いメディアとして活用することができる。
▲売り場に近いサイネージで、入店/販売に直結するコンテンツが必要とされる
2.広告コンテンツ
商品やサービスの宣伝・広告を表示するためのコンテンツ。サイネージにおける広告は不特定多数の人が多く行き来する場所に広告を掲出し、表示機器1に対して、視聴者n(複数)で強制的に視認させる効果がある、また動線上に連続した表示機器に広告掲出することでフリークエンシー(同一ユーザーの視聴頻度)をあげ、広告の刷り込み効果につながる。
また各種センサーを活用し、表示機器1に対して、ユーザー個別に広告配信可能な技術も進んでいる。
▲広告・宣伝プロモーションの一環として、認知拡大の施策としてサイネージを活用するケースも目立つ
3.インフォメーションコンテンツ
店舗や施設の案内(サイン)・情報提供をするためのコンテンツ。
営業時間やイベントの告知、天気予報、地図などが含まれる。施設内の導線計画やゾーニング、はじめての来訪者でも理解できる分かりやすい説明、インバウンド観光客への多言語表示など用途はさまざまである。また、ニュース・天気予報・交通情報などの定期的に更新するコンテンツでは、リアルタイムにアップデートが必要なため、システムと連携している。
▲施設の案内やイベント告知など、情報提供されている
4.演出コンテンツ
空間利用者に、イベントなどに合わせた動画や音楽を用いた内容で、商業施設のイベントスペースやオフィスのエントランスなど目的・用途に合わせた演出空間を提供するコンテンツ。
空間演出の装置として使い、空間全体の世界感を一瞬で変化させることができる。例えば「森の中」「海の中」「空の上」など、季節や時間帯ごとの変化により、非日常空間を演出することができる。
▲四季などの環境映像や非日常を描くコンテンツが数多く表現されている
以上、基本的な4つの活用についてお話した。
最後に、タッチパネルのコンテンツについても触れておきたい。
5.タッチパネルコンテンツ
双方向のコミュニケーションを実現するインタラクティブコンテンツ。
利用者自身が、表示機器に触れてコンテンツを切り替えることで、知りたい情報を引き出すPull型メディアとして、より的確な情報を伝えることができる。Webとの連携による定期更新や多言語切り替えなど、案内する人がいなくても、利用者自身で完結するサイネージとなる。
▲ユーザーの意思で情報を引き出すタッチコンテンツ
昨今のデジタルサイネージコンテンツは、デバイスの拡充にともなって幅広く使われている。Webとの連携や屋外LEDビジョンに見られる錯視を利用した3Dコンテンツなど、さまざまな放映手段でクリエイティブなコンテンツに進化している。また、システムとの連携によりサイネージ全体を取り仕切るシステムとコンテンツの両輪のディレクションが必要とされ、専門的な領域は更に深掘りされている。今後、ユーザーにとって、より快適なUX(ユーザー体験価値の向上)を提供するサイネージコンテンツが求められている。
(T.W.)