DSC EXPRESS
Vol.162

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  • 裸眼による3D空間再現の可能性

    裸眼による3D空間再現の可能性

    先日、福岡で開催されたソニーマーケティング株式会社主催の展示会を覗いてきた。数ある製品の中でも空間再現ディスプレイ(SPATIAL REALITY DISPLAY)の技術の独自性に改めて目を奪われた。1年前に27インチサイズのELF-SR2が発表されているが、改めて紹介してみたい。

     実は、半年ほど前にショールームで同じ製品を見たことはあったのだが、今回は製品のソフトウェアアップデートにより設置方法が追加されている。この製品は視聴対象者に対し、アイトラッキングの技術を使う前提があるため今までは45度の角度に設置し、あえて覗き込むような閉鎖的な見せ方になっていた。しかし、春ごろのソフトウェアアップデートにより、90度(垂直)の設置が可能になったとのことだ。これで3Dを体験できる空間の自由度が格段に拡がっている。

     立体視が出来る仕組みとしては、ディスプレイの上部中央に配置した高速ビジョンセンサーと視線認識技術により、見る人の左右の目の位置を水平や垂直、奥行方向と正しく検出し、目の位置に連動した映像をリアルタイムレンダリングし、常に左右の目それぞれの視点映像を送って視差を発生させることで実現している。

     実際に展示会で見た映像も裸眼にもかかわらず画面から飛び出す立体感(質感)は、解像度も非常に高く、想像以上にリアルで不思議な感覚を覚えた。

     なによりこの技術は、専用のメガネやヘッドセットを使わずに裸眼で立体視体験ができる点がすばらしく、手を触れたくなるその実在感は新たな可能性を感じずにはいられない。残念な点は、この3D空間を享受できるのが1人であるという部分だが、ここは映像クオリティを保つために譲れない部分なのかもしれない。

     この3D技術は、錯視により特定ポイントから3Dに見せる屋外ビジョンの仕組みと違い、対象者は限定されるものの、センサーでアイトラッキングされている間は表示されたコンテンツの側面や上部などに回り込んでも立体視出来る。これは、複雑な構造を可視化して立体的に理解させる手段として非常に有効で医療や建築の分野での引き合いも多いようだ。

     また一方で、VRやメタバース、リテールなどとの親和性も高いため、イベント、サイネージでの利用も増えると予想される。現場の担当者は、今後、既存のELF-SR2を縦に4枚組み合わせた等身大のような見せ方などができるようになると話しており、そうなるとキャラクターやマネキンを表示し、ファッション領域での活用も期待できそうだ。

     この空間再現ディスプレイ上で再現されるクオリティは、画像や動画で上手く撮影できず非常に伝えるのが難しい。 全国のソニーストアで実機を展示しているそうなので、機会があれば、ぜひ一度体験してみてほしい。
    (K.O.)

    (参考サイト)
    空間再現ディスプレイホームページ:https://www.sony.jp/spatial-reality-display/
    ソニーストア:https://www.sony.jp/store/retail/

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