システムのUI/UXの重要性
スマートフォンは直感的なインタラクションを普及させ、デスクトップやウェブのUI/UXにも影響を与えた。その影響は駅のタッチパネル券売機や飲食店のタブレットオーダーでの利用の容易さでも感じられる。ではデジタルサイネージのシステムはどうか?
駅のタッチパネル券売機や飲食店のタブレットオーダーを利用したことのない人はいないだろう。最近では回転ずしの「はま寿司」や「スシロー」でも流れるレーンを見立てた大型タッチモニターが出現し、リアルの寿司よりデジタルの寿司で選ぶことにより衛生的に楽しく利用できる取り組みだと大変好評だ。これらは初めて利用する人でも何の説明もなく利用でき、ユーザー目線でユーザビリティの質の高さを感じる。このように一般の生活者が多く利用するシステムのUI/UXはとても進化している。小学生でも難なく使え、年配の方も説明書がなくとも利用できるよう設計されている。
一方、会計や人事、生産管理などの業務系システムのUIはどうだろうか。業務系システムの場合は、複雑で多様な業務内容との連携が多く、UIもそれに伴い複雑化しマニュアルは必須だ。しかし、複雑にも関わらず担当者がそれを各自の業務として使いこなせるのは、操作するユーザーがオフィスで働き、ある一定のITリテラシーを持ち合わせ、トレーニングの体制も十分に用意されている環境にあるからと言えるだろう。
さて、弊社でもデジタルサイネージを表示機とするシステムを多数開発している。食堂や店舗、病院や施設など現場で業務効率化や省力化を図れるシステムで、メニュー表示や呼び出し番号表示、宴席案内などがある。現場にはさまざまな年齢層がいて、まだ働き始めたばかりの新人やデジタル機器に慣れていない担当者も多いため、弊社が最もこだわっているのは「直感的な操作性」である。それは操作のスピードに左右し、作業効率の向上、エラーの削減も期待できる。逆に操作が直感的でない場合、トレーニングやマニュアルが必要となり、それにかかる負担やコストが増加するだろう。また画面レイアウトなど視覚的にも一貫性のあるデザインが必要で、メニューなどの配置やサイズ等の統一感により操作のスピードアップとミスを防ぐことができる。
まさにUI/UXに配慮し、どんな年代でもマニュアル不要で直感的に使うことができるシステムであることをいつも念頭におき開発している。
ただ、デジタルサイネージが普及したものの、現在世の中に出回っているデジタルサイネージにコンテンツを配信するCMSの多くは、操作画面のUIについて考えさせられることが多い。スマホを操作するように誰でも簡単に操作できればいいが、いまだに説明書が必要な点においてまだまだ進化の余地があると思う。
リビングで、3歳の娘がテレビの画面上で指を滑らせて、テレビの画面を変えようと「スワイプ」している。これほどまでにスマホのUIは生活に溶け込んでいる。
今後デジタルサイネージに関するシステムやアプリも、ユーザーにとって真に使いやすい操作性を追求し、シンプルな操作性と統一感あるデザインによりユーザーに寄り添うことが必要になってくるだろう。UX/UXは、商品やサービスを利用する顧客満足度に大きく影響を与える。
(E.M)