デジタルサイネージに寿司が流れる、スシローのデジロー
回転しなくなった回転寿司は、衛生面から致し方ないとは言え、偶然の出会いがなくなってしまったのではないだろうか。そこをデジタルサイネージが解決しようとしている。
最近の回転寿司は回転しない。以前のように回転レーンを流れる皿をピックアップするのではなく、衛生面などの理由でテーブルに設置されているタッチパネルや自分のスマートフォンから食べたいものを注文し、注文品がレーンで届くスタイルにどんどん置き換わっているのはご承知のとおりだ。
ところがいま、スシローで再び寿司が流れるようになったのだ。それもデジタルサイネージ画面上で、である。スシローが導入を始めたその名も「デジロー」を新宿西口店で体験してきた。
テーブル横のディスプレイは70インチ4Kのハーフカットのタッチパネルディスプレイだ。横幅は1m55cmとかなり大きい。4人掛けのボックスシートにほぼいっぱいの大きさである。
ディスプレイ上を流れる寿司をタッチすると、注文トレイに入る仕組みだ。他にも商品メニューから選ぶことも可能で、これはいわゆるデジタルメニューになっていて、よく見かけるオーダー端末と基本的には同じ。
やはり圧巻というかとても楽しいのは、本物の皿ではなくグラフィックスの皿がディスプレイ上を流れていくところだ。70インチディスプレイなので表示される皿はほぼ原寸大で、なかなかリアルなのである。
あくまでも流れてくるのはグラフィックなので、もちろん実際に食べられるわけではない、いわば食品サンプルが流れているようなものだ。それでもリアル寿司が流れるよりも、ディスプレイ上で流れているのを見るのは想像以上にエンタメ要素もあって、なんだか楽しいのである。自分の意志でデジタルメニューを操作するのではなく、目の前のディスプレイに表示されたものに思わず注文してしまうことが何度もあった。
これはいきなりバーチャルからの体験ではなく、リアルな回転寿司を知っているからこそ、サイネージ画面上のバーチャル回転寿司がより楽しいのではないかと思った。
デジローを導入することで売上や利益は上がるのか、滞在時間は、客単価はどう変化するのか。現時点でデジローが導入されているのは江坂店(大阪府)、新宿西口店(東京都)、天白焼山店(愛知県)」の3店舗のようだ。今後データが蓄積されていくにつれて、デジローがどれくらい導入されていくか気になるところだ。(Y.E.)