今、デジタルOOH広告に求められるもの
今、デジタルOOH広告に求められるものは、「3D広告のように話題になりSNSに拡散されるクリエイティブと、データに基づいて計測された視認者数を提供するメジャメント」この2点だろう。これらに対応した新設のサイネージ媒体も出てきている。
2023年1月24日に実施したDSCのスペシャルウェビナーでは、(株)TREE Digital Studioの林 達郎氏とHivestack Japan(株)の神内一郎氏(DSC理事)の講演が行われた。林氏はアメリカタイムズスクエアで放映したBMWの3D広告を制作したプロデューサーだが、「広告主は長期間出稿するより、一度タイムズスクエアで流したという事実をSNSにアップすることを重視しているようだった。これだと、媒体費を抑えて制作にコストをかけられる」と語った。極論を言えば、その場でどれだけの人が見るかというより、グローバルなSNSに話題性のある広告を拡散させて、より多くの人々に見てもらうことを重視したということだろう。
一方、神内氏はOOH広告業界の国際団体「WOO」のOOHメディア・カレンシー(媒体取引標準価値基準)に関する新しいガイドラインを詳しく解説。「透明性があり信用できるデータに基づいて計測された指標を提供することが、OOH広告市場の発展に寄与する」と語った。これは林氏の場合とは対照的に、広告放映中にその場に視認できる人・視認していると想定できる人数の計測を重視し、広告取引の際の業界共通の価値基準を定めるものだ。これが明確になれば、他メディアとの併用が進み、さらに配信プラットフォームを繋いだ上で、デジタル広告の配信先となることもあり得る。
方向性は真逆だが、どちらもリアルな世界にあるデジタルOOHとインターネット上の世界を連携させる必要があると述べている点は共通と言えよう。
1月16日から正式スタートしたL字型大型ビジョン「梅田BS3Dビジョン」には、ユニークな3Dキャラクター「ウメダのウドンチャン」が登場した。実はこのキャラクターは「新宿東口の猫」の生みの親である(株)オムニバス・ジャパンの山本信一氏(クリエイティブディレクター)と、大阪在住で「ちょっとだけおもしろい」をテーマに絵本や面白グッズを展開する、人気のおもしろメーカーmakomo氏(イラストレーター)とのコラボにより生まれたのだという。定評あるクリエイター同士のタッグによる作品は、今後もシリーズ展開がされるとのことで楽しみだ。また、媒体元の(株)パス・コミュニケーションズでは、 東京のクロス新宿ビジョン同様Twitterの公式企業アカウントを取得して情報発信を行なっており、SNS連携ができている。
また、「LIVE BOARD マーケットプレイス」に接続し、インプレッション(広告視認者数)に基づく広告配信も行っているとのことで、デジタルOOH広告に求められる「話題性・SNS拡散」と「メジャメント」両方に対応している数少ない媒体としても注目すべきだろう。クリエイティブとメジャメント、あるいはその連携により、これからのデジタルOOH広告にどのような可能性が開けてくるのか、楽しみだ。(K.Y)