メタバースはもっと身近に!
仮想空間で遊べる玩具の世界
2022年は、「メタバース元年」とも言われる。そして、その潮流はアナログでフィジカルな玩具の世界にも押し寄せている。
そこで、タカラトミーのグローバルメディア戦略室 部長の山﨑正彦氏に話を伺った。
―御社は、去る9月15日から「メタバース×玩具」に関する新しい取り組みを始めたようですが、なぜ玩具メーカーがメタバースなんですか?
山﨑:これまで弊社はトミカ、プラレール、リカちゃん、ベイブレードなど子どもから大人まで、多くの方に愛されるブランドを生み出し、育ててきました。元来、玩具は物理的に近くにいる仲間や友達、家族と遊ぶものですが、中期方針として、「おもちゃからアソビへ」、というヴィジョンを掲げている今、おもちゃを通じたアソビの素晴らしい体験を、時間や距離に縛られることなく、離れた仲間同士が簡単に集まることができるメタバースだからこそ実現できる新たな体験、新たなアソビ場を提供したかったんです。
そこで実施したのが、「メタバース黒ひげ危機一発」です。第一弾として「黒ひげ危機一発」を選んだ理由は、大人数でのプレイに最も適していること、遊びのシンプルさ、にあります。タカラトミーのお客様にとって、メタバースはまだ遠い存在であり、できる限りシンプルな遊びにすることで、手軽にかつ多くの方々にその価値を体験していただけるのではないかと考えました。
―プロジェクトの実施に当たっては、どのようなアライアンスを構築したのでしょうか?
山﨑:今回、No.1メタバースイベントカンパニーであるクラスター(株)とタッグを組みました。両社として初めての共同作業でしたが、玩具というフィジカルな製品を生み出してきたタカラトミーと、メタバースという無形のデジタル世界を作り続けてきたクラスターという対極にある2社のノウハウを結集させて、開発を進めてきました。
クラスターは仮想空間を製作するにあたり「バーチャル渋谷」など現実の世界との融合や手触り感をとても大切にする会社であり、玩具特有のフィジカルな魅力を引き出すにあたり、大きなシナジーを生み出しやすいと思ったんです。
―具体的にはどんな風に遊ぶのですか?
自分で剣を選び、タルに刺して黒ひげが飛び出したら負け、という基本的な遊びの導線・DNAは変えず、最大12名で遊ぶことができます。玩具ならではの剣を穴にぐいっと押し込む感覚をデジタル上でどのように表現するか、何度も試行錯誤を繰り返しました。仲間同士の記念撮影はもちろんのこと、黒ひげ人形の上に乗って飛び出す側の気分になれたり、海賊船やレトロサイバーな世界観を舞台にしていたり、巨大なタルの中に入れるなどメタバースならではの遊びを付け加えました。
―それは楽しそうです!東京ゲームショウでもずいぶん話題になりましたね?
山﨑:おかげさまで、多くのメディアに取り上げていただき、大きな反響がありました。今回の知見を基に、引き続きメタバースの新たな活用方法、未来のアソビ体験を模索していきたいと考えています。
―次の展開も楽しみにしています。ありがとうございました!(M.I.)
©️TOMY