DSC EXPRESS
Vol.088

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  • それほど先の話でなくなったAR、共存するデジタルサイネージ

    それほど先の話でなくなったAR、
    共存するデジタルサイネージ

    スマートフォンのカメラ機能を使ったARアプリは、あまり新しさは無くなり、実生活の中でサイズや距離を測ったり、大物家具や試着など、買う前のシュミレーションする為には欠かせない機能になってきているが、使用シーンが限定的過ぎて、実生活に溶け込んでいるとは言えないのが、多くの人のARの現状認識ではないだろうか。

     スマートグラスの進化も仕事の中での利便性は見出しつつも、スマートコンタクトレンズ位に見た目も含めて自然なデバイスに進化しないと「ARとの共生感」の様な物は生まれないだろうと思っていた。そしてそのスマートコンタクトレンズが自然に装着される世界はいつ頃訪れるかと考えると、10年後、20年後位かなという印象でしたが、 ARコンタクトレンズ「Mojo Lens」の存在を見つけたときは、近い将来、生活の中にARが溶け込むイメージが明確に沸き上がった。
     参考:上記画像 引用:https://www.mojo.vision/

     2022年6月23日、カリフォルニア州にあるMojo Visionのラボで実施された、先進的な技術と機能を備えた拡張現実感スマートコンタクトレンズのデモンストレーションにSF世界が現実になる印象を受けた。

     「Mojo Lens」の開発には業界初の技術を数多く開発してきたという。

    ●「Mojo Lens」の中心にあるのは、14,000ピクセル/インチのMicroLEDディスプレイ。
     直径0.5mm未満、ピクセルピッチ1.8ミクロンで、これまでに作成された世界最小かつ最も高密度のディスプレイを開発した。

    ●5GHz無線と、センサーデータをレンズから送信し、拡張現実(AR)コンテンツをMicroLEDディスプレイにストリーミングするARM Core M0プロセッサを組み込んだMojo Lens用のカスタム特定用途向け集積回路(ASIC)設計を開発した。

    ● 「Mojo Lens」 は、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計があり、目の動きを継続的に追跡し、目が動くときにAR画像が静止する機能が実装されている。

    ● 「Mojo Lens」は医療機器水準のマイクロバッテリーとMojoが開発した電源管理集積回路を含む独自の電源管理システムを使用している。

    ●「Mojo Lens」は、アイトラッキングに基づくユニークで直感的なインターフェイスで制御され、ユーザーは手やジェスチャーベースのコントローラーなしでコンテンツにアクセスし、アイテムを選択することができる。

     上記のとおり「Mojo Lens」の開発した技術やデバイスの仕様もワクワクする事ばかりである。

     一方で、ユニークなAR広告実績として、2019年ブラジルのユーザー向けにバーガーキングが展開した“Burn That Ad(広告を燃やせ)”と名付けられたこのキャンペーンは、ユーザーがバーガーキングのモバイルアプリを起動し、カメラを競合バーガーショップの広告に向けて画面をタップ。すると、広告が炎を上げて燃えてゆくARが現れる。広告はチラシだけでなく、看板やクーポン券なども対象だという。

    引用:https://www.moguravr.com/burgerking-ar-campaign/
     そして広告が消え去った跡には、バーガーキングの看板メニュー「ワッパー」の無料クーポンが登場。こうしてユーザーを楽しませながら、バーガーキングへの来店を促すものだと言う。

     AR空間はブルーオーシャンであることは間違いないのだが、前述したスマートコンタクトレンズが進化し、より身近になった近未来の世界では、現実に放映されているデジタルサイネージや看板がARによって上書きされてしまう事も容易に想定され、拡張現実の世界はプライベート空間なのか、公共空間なのか、今後議論と整備が必要な分野であることは間違いない。(N.Y)

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