ヒューマン・センシングでサイネージを活かす
さまざまなセンサーやカメラ、AIなどと組み合わされることが増えたデジタルサイネージ。昨今注目されるヒューマン・センシングを活用したデジタルサイネージには、どんなことができるだろうか。
昨今のデジタルサイネージには、さまざまなセンサーやカメラ/AIを活用されており、サイネージ視聴率測定やその効果分析を行っている事例も多く見られる。また、センサー情報をサイネージ側で受け取り、コンテンツをリアルタイムに変更する属性配信や個別配信も進んでいる。
そんな中、カメラ/AIによるセンシング技術では、「ヒューマン・センシング」が注目されている。ヒューマン・センシングの技術とは、カメラ映像を通して骨格の動き、顔の向き・変化、手指の形(ハンドサイン)、手に持っている物、人間の移動速度や、人間間の距離推定などを通じて人の複雑な動きや状態を可視化する画像解析技術だ。そして、元来センサーが得意としていた物体検出などと組合せることにより、「人が具体的に何をしているのか」「どういう状態にあるか」「何秒行っているのか」に加え、リアルタイム・高精度での動作を解析を可能としている。また、「ヒューマン・センシング」は複雑な解析を可能としているものの、昨今では技術力の向上により画像データの転送軽量化と通信の高速化も実現し、さらに活用シーンが広がっている。
このヒューマン・センシング技術と×デジタルサイネージを組み合わせることにより、新たなサイネージの市場開拓が見えてくる。
安全配慮が必要なロケーションでのサイネージ利用がそのひとつだ。例えば、建設現場におけるKY(危険予知)活動をサイネージで発信されているケースも多く、その内容は、一般的な危険予知および安全に関するインフォメーションになっている。これを個々の作業員に向けて、サイネージで告知出来れば、現場全体のKY活動ではなく、個の作業動作/しぐさから、危険アラートや安全の先取り情報を個々人へ配信することが出来る。サイネージを活用した安全配慮情報として役立てることが出来る。
今後、人の行動・状態・予測分析を可能にするヒューマン・センシングで、リアル空間の安全管理、工程管理、接客管理、来客分析など、さまざまなニーズに合わせたサイネージの活用例が増え、より個に向けたサイネージ設置が増えることを期待したい。(T.W)