DSC EXPRESS Vol.068をお届けします。
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進化するOOHメディア
~データによるメディア価値可視化のアプローチ~
新年あけましておめでとうございます。コロナ禍も落ち着きつつある2022年初春、皆さま、いかがお過ごしでしょうか?今号ではデジタルサイネージを含むOOH広告業界で様々なアプローチが行われている「メディア価値の可視化」についてご紹介します。
広告業界でOOH(Out Of Home)と呼ばれている屋外広告・交通広告の分野ではここ数年、メディア価値(広告効果)の可視化のために様々な取り組みが行われてきた。これはセンサーや位置情報、カメラなどから取得したデータを活用して、広告媒体の接触可能人数やその属性を定量的に把握しようというアプローチである。活用するデータは個人情報やプライバシー保護に配慮した取り扱いを前提とすることは言うまでもない。もともとOOHメディアは①不特定多数の生活者に②繰り返し接触していると言われてきたが、近年、テレビやWEBメディアのように広告のパフォーマンスを定量的に把握したいという広告主ニーズやコロナ禍で屋外の人流やライフスタイルに大きな変化が生じたこともこの可視化の必要性を後押しし、現在、OOHメディア業界では最重要のテーマとなっている。
デジタルサイネージコンソーシアムでも2019年12月に「メジャメントWG」を設置、2021年3月には「オーディエンスメジャメントガイドライン(第1版)」を公開してメディア価値の可視化のためのデータ活用の留意点を提起している。
https://digital-signage.jp/wp-content/uploads/AudienceMeasurementGuideline1.0.pdf
また交通広告の分野でも首都圏で交通広告を販売・管理する鉄道事業社ならびにハウスエージェンシー(いわゆる媒体社)11社局で構成する「交通広告メジャメント標準化検討会」が2020年1月に設置され、2021年12月22日に検討の進捗についてのリリースを行った。
https://www.jeki.co.jp/info/detail/?id=905
同検討会では、駅構内におけるデータ取得の実証実験により得られた知見と課題を踏まえて、広告媒体のメジャメント標準化やデータ活用に向けた検討を進めつつ、電車内の広告価値の可視化にも取り組むとしている。
その他にも業界団体や広告会社、位置情報系ソリューションベンダー等による検討やトライアルは多数行われている。2022年はデータによるメジャメントの標準化、そしてOOHならではの独自価値を含む広告効果の再定義により、デジタルサイネージを含むOOHメディアが大きく進化する年になるだろう。是非、このジャンルの動向にも注目して欲しい。(T.Y.)