DSC EXPRESS
Vol.067

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  • 表参道交差点で増え続けるデジタルサイネージと劇場空間としての可能性▲2021年12月の表参道交差点周辺のデジタルサイネージ

    表参道交差点で増え続けるデジタルサイネージと
    劇場空間としての可能性

    「肉眼3D」放映が可能なL字型大型屋外ビジョンを大小ツインで備えた計7面のデジタルサイネージが表参道交差点に登場した。従来からの、欅並木のイルミネーションや、ファッションブランド主催の街イベントなど、魅力的な組み合わせやコラボレーションによる新たな演出の可能性が高まっている。

     12月に入って、欅並木がシャンパンゴールドに輝く「表参道イルミネーション2021」がスタートした(2021年12月26日まで)。従来ほどの交通渋滞などはないものの、交差点周辺に増えつつある大型ビジョンと相まって、新たな美しいディナータイムの街を演出していた。

     交差点の一角、メトロアドエージェンシーが運営するイベントスペースには、Cartierによる「The Reflecting Garden」がオープンし、高さ8メートルほどの天然もみの木によるクリスマスツリーが設置されている。周囲で一緒に手をかざす人数に応じてイルミネーションがインタラクティブに変化したり、背面に大小のミラーがちりばめられて自撮りスポットとして楽しめるようになっていたりと、新しい仕掛けが組み込まれている。さらに、向かいのZeroBase表参道には、「愛」がテーマとなったポップアップ「Cartier POST #CartierLoveIsAll」が同時オープンし、メッセージを選んで送ることができるカード作りといった体験型コンテンツが用意されている。クリスマスツリーは2021年1月4日までだが、関連イベントは9月まで続く。

     10月に登場したのは、株式会社ヒットによる「肉眼3D」放映が可能なL字型大型屋外ビジョン「表参道ヒットビジョン」。12月には、その一段下に、小ぶりの「表参道ヒットサイドビジョン」が、コの字型のビジョン3面と、壁面ビジョン1面の合計4面で追加された。まだ、コンテンツはクルマや化粧品など限られるが、大小ツインの3D表現を含め計7面による演出は、この先どうなるのか非常に楽しみだ。青山通りを走るドライバーの目を奪って事故にならないよう、つい、祈ってしまう。

     2017年秋には、イトキン株式会社が角2面の広告版を大型デジタルサイネージに衣替えして、アーティストを入れての質の高いヴィジュアルでブランド・コミュニケーションを展開している。この他にも、ZeroBase表参道の屋上やDB+OMOTESANDOなどの外苑方面に向けても、着実にデジタルサイネージが増えており、まだまだ、デジタル化の余地を残したアナログなサイネージが過半と思われるものの、表参道交差点が新たに劇場空間としての可能性を高めている。

     交差点で信号待ちしていると、スマホに港区提供の公衆無線LAN「Minato City Wi-Fi」が接続候補として出てくる。Wi-FiとGPSの組み合わせをチューニングすると位置情報精度はぐっと上がるのだが、これを利用すると、表参道交差点周辺エリアは、モバイルデバイスとデジタルサイネージでインタラクティブに遊ぶには絶好のスペースとなる。ちょっと裏道に入ると、魅力的なお店があちこちに散りばめられているエリアだが、デジタルサイネージでライブしながらクーポンの時空間限定配布やお店への誘導を組み合わせると、魅力的な街イベントを企画できるのではないだろうか。

     コロナ禍で2020年には初のオンラインとなった「VOGUE FASHION’S NIGHT IN」は、2019年までは「IN」ではなく「OUT」として、表参道・青山・原宿エリアで多くの参加店やブランド、モデルや著名人が練り歩き、店先でシャンパンをふるまうなど華やかに開催されていた。2021年はオンラインもできなかったようだが、この先、さらに、表参道エリアでデジタルサイネージが拡充され、多様な人々と携行しているデバイス、そしてお店とのコラボレーションやインタラクションで、より魅力的な演出とともに、街イベントとして復活することを期待したい。(S.N.)

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