CSRの取り組みの中で生まれる
賛同や共感を呼ぶデジタルサイネージ・システム
スペックや機能ではなく共感が消費者の心を動かす今。企業はイメージ向上のためにCSRに積極的に取り組み、もの・サービスのセールスにもつなげる。ここにフォーカスした製品開発が、広告収益型ではないデジタルサイネージの利用価値創出のキ−があるのではないだろうか。
今年もあと1ヶ月あまりで新たな年を迎える。振り返ると今年開催された東京オリンピックさえ、遠い夢のように感じてしまう。コロナ生活は日常化され、リモートワークの必然から企業のDX化が一気に進んだ。しかし、コロナは完全終息とは言えないにもかかわらず、満員電車に遭遇することもあり、一体何が本当なのか惑わされてならない。
さて、企業活動の中で重要な要素がCSR(企業の社会的責任)となってきた今、ものやサービスの評価は、商品のメリットやスペックの高さといった商品そのものの良さから、消費者の心を動かすのは商品の背景や作り手の想いがいかにして伝わるかが重要であると同時に、賛同を得ることで購入意欲に繋がるといった風潮が強くなってきている。特に社会貢献やSDG’s(持続可能な開発目標)などへの参画がより共感を得る重要なポイントだ。
SDG’sの17の目標のうち12.「つくる責任 つかう責任」に食品ロス問題がある。
会社や工場などの食堂では日替りのメニューが沢山提供される。そのメニューの紹介はこれまで毎日調理されたサンプルが使われることが多く、それらは当然ながらすべて廃棄されてきた。その問題を解決させるデジタルサイネージ・システムの導入が食堂のリニューアルのタイミングで増えている。
調理サンプルに変わり、毎日の日替りメニューがポスターのように綺麗に、かつわかりやすくメニュー画像・メニュー名・価格のみならず、栄養表示やアレルギー表示なども簡単な操作で画面に表示される。売り切れ表示などもタイムリーに簡単にでき、提供する側の負担も軽減され、食堂利用者である従業員・企業の満足度も上がる。食品ロスの削減の程度は多くはないがCSRでサステイナブルな取り組みを行っているという社会貢献に従業員が共感し、また快適な職場環境の提供により生産性は向上するという好循環を生む仕組みである。
このように、社会貢献も含めサステナブルな視点からものやサービスを考えることが、デジタルサイネージの世界でも今後の製品開発の大切なポイントになってくるであろう。 (H.I)