DSC EXPRESS
Vol.022

DSC EXPRESS Vol.022をお届けします。
毎月15日発行です。どうぞ宜しくお願い致します。

  • Uberが屋根上でプログラマティックサイネージ「Uber OOH」を開始

    Uberが屋根上でプログラマティックサイネージ
    「Uber OOH」を開始

    Uberがライドシェアカーの屋根にデジタルサイネージディスプレイを設置する計画を進めており、そのテストを2020年4月1日より行うと発表した。テストはアトランタ、ダラス、フェニックスの3都市で実施され、1000台以上の車両でテストを行う。Uber OOHはプログラマティックサイネージ企業であるAdomniとのパートナーシップで行う。
    Uber OOHのトレーラーはこちら。
     
    またAdonomiのプラットフォームを通じて、Uber OOH以外のデジタルサイネージメディアに対して配信が行うことができる。
     
    アメリカではタクシーの屋根上サイネージは以前からあったが、さほど普及はしていない。そこにUberが参入することでドライバーに収入(週20時間以上の稼働で100ドル)が入る。これによってロケーション確保が一気に進むだろう。こうして確保されたロケーションに対して、Adnomiのプログラマティックなアドネットワークが広告を配信する。少なくとも当初は、GPSなどによるロケーション連動についてはアナウンスがないが、これはいつでも実現可能だろう。実際にニューヨークのタクシーの車内サイネージでは5年以上前から実現されていることだ。
    日本では事実上Uberは参入していないのと同じことで、まったく市場を確保できていない。また屋根上でサイネージを行うことは、現状多くの自治体で規制されるので当面は関係がない話だ。
    しかし重要なことは、日本ではタクシー屋根上サイネージが実現できないことではなく、プログラマティックサイネージの波に日本が取る残される危惧ではないだろうか。Uberの強みは「デジタルビット化できないものの移動」を起点にして、必要に応じてデジタルテクノロジーを徹底的に駆使しているからである。
    Uber OOHのリリースや関連サイトを見て気がつくことがある。それは一切、Digital Signageという単語が使われていないことだ。これは恐らく、デジタルサイネージには広告以外の用途も含むが、広告に限定すれば、アナログ看板としてのOOH(Out Of Home )という言い方からDOOH( Digital Out Of Home )に移行しながら、ぐるっとひとまわりしてシンプルにOOHに帰って来たというところだろう。長々としたDigital Signageという単語よりも、OOHの方がすっきり3文字でわかりやすい。言うまでもなく、これからのOOHは全部デジタルだからである。(Y.E.)

  • IoT時代の注目技術:ワイヤレス給電

    IoT時代の注目技術:ワイヤレス給電

    IoT化の時代、通信の5G化は元より、「ワイヤレス給電」という技術にも注目が集まっている。
    2018年に矢野経済研究所がまとめたところによると、ワイヤレス給電の世界市場規模(メーカー出荷金額)は、2017年が1223億1000万円、2018年に1741億5000万円、2019年に2197億円、2020年に2385億円となり、2023年には3590億円と予測され、国内でも成長領域の一つと位置付けられている。
    ワイヤレスでの電力供給を可能にする技術としては、いくつかあるが、大きく分けると放射型と非放射型とに分かれる。非放射型のうちで電磁誘導を用いた「電磁誘導方式」(双方のコイルを近づけて、電流を流し充電する方式)と、「磁界共振方式」(特定の周波数で発振させることにより、発振のエネルギーで充電する方式)が有力視されているが、そのほかに、「電界」を用いた方式もある。放射型としては、「赤外線」、「マイクロ波」を用いた方式などがあり、適応する距離などが異なる。

    去る1月23日と24日の2日に渡って行われた「DOCOMO Open House 2020」では、赤外線を使って広範囲に安全かつ電力供給を行なうことを可能にする技術として、イスラエルの「Wi-Charge」のデモ展示が行われていたが、実際に上から降ってくる赤外線で、電車の模型が動くところは、とても興味深かった。
    そもそも、電気を流すためには、コンセント、プラグ、スマホのコネクタのように、金属が必要であるが、金属以外に水にも流れるため、ショートを防ぐため、防水家電は、金属部分を厳重に覆うなどの対策が取られている。しかし、ワイヤレス給電の場合、金属部分がないため、ショートすることがなく、安全性の確保が可能である他、金属接点の摩耗による破損など、製品が壊れにくいというメリットがある。さらに充電器や給電コードと機器をつながなくても給電ができるため、電源コードは必要最小限で済み、スッキリした空間になるだけでなく、家具などのレイアウトの変更も容易になる。
    すでにスマホや一部の家電には採用されているし、倉庫などの業務用AGV(無人搬送車)などでも使われているが、今後、より一般的な技術としてさらに普及が期待されている。例えば、電気自動車の充電ステーション。現時点では充電時に専用のプラグを接続する必要があるが、駐車場にワイヤレス給電が導入されれば、着脱の手間を大幅に省くことができる。さらに、道路の下にコイルを埋めるなどして、走行しながらの充電も可能になると考えられている。
    家の中では、デスクやテーブルに置いてあるPCやスマホ、壁にかけたバッグの中や服のポケットに入っているスマホ、屋外においてある機器への充電もガラスや壁越しに可能になり、安全性が高まる。
    このように、IoT時代の我々のUXを劇的に変える可能性のある技術、「ワイヤレス給電」の今後の標準化や普及が待ち遠しい。(M.I)

  • デジタルサイネージ
    NEWS解説

    Interop Tokyo 2020が開催中止、新型コロナウイルスの影響で 記事元:クラウドWatch 2月27日

    Interop Tokyo 実行委員会は27日、4月13日~15日に幕張メッセにて開催される予定だったネットワーク関連イベント「Interop Tokyo 2020」の開催中止を発表した。なお、Interop Tokyo 2020に加えて、併催予定だった「Connected Media Tokyo 2020」「デジタルサイネージジャパン 2020」「ロケーションビジネスジャパン 2020」「APPS JAPAN 2020」も中止となった。

    ということで、業界最大のイベント「デジタルサイネージジャパン」、今年は例年より早い4月開催予定だったが、2月末に中止が決定された。3日間で併催イベント含めて来場者見込み15万、さまざまな業種・職種の人たちが集結して行う準備運営、参加社来場者の全国からの移動宿泊、デジタルサイネージ周辺の今後の方向性が比較的出し惜しみなく誇張しすぎず開示される展示やセミナー、などの活動が、いやおうなくとんだことになる。
    物理的にも情報流通的にも世界の距離が縮んでいる今日、イベント開催の感染症対策は今後、違う難しさのフェーズに突入すると思われるので、そのこと自体も考察すべきテーマかもしれないが、その前にデジタルサイネージの持つ意味あるいは意義の一部について考えてみたい。
    比較的広義の役割として、パブリックビューイングやテレカンなど、物理的に遠い場所にいる人や物をつないで、体験価値を作るということがある。この点は技術的にはかなり進化してきているが、いまひとつ「いざというとき、今すぐ、ほんとに、頼りになる」という感じになりきっていない。これはルールやコンテンツ内容の問題だけでなく、そもそも人は何をしたいのかという視点が足りないからかもしれない。デジタルサイネージ業界は、この際そういう領域にぐっと踏み込むチャンスではないだろうか。
    もう少しわかりやすい役割としては、広告にしても情報発信にしても、「そこにいる人」に主体的に語りかけること、がある。一定の場所に設置されているデジタルサイネージは、本来設置者の責任や考えのもと「そこにいる人」に送るべきものを送ることができる。だから、人々が不安になっているときこそ、正しい情報や楽しいコンテンツを配信するメディアとして機能できるはずなのだ。そのためには、日頃からその場所で信頼と経済活動を両立させておかなければならない。「いつもそこにある」、だからこそ信頼できるメディアとしてのデジタルサイネージの強みを真剣に考えるべきときかなと思う。
    思い起こせば2011年の今頃、デジタルサイネージは電気を食う媒体として、しばらく電源を入れられない日々が続いた。あのとき、「デジタルサイネージにはそもそも役割がある、こんなときにも電源を入れたい!と思われるようにならなければ」と思った(人もいる)ことを、忘れないようにしよう。筆者は今回、多くの医療者の方々が「怒りたいことも嘆きたいこともあるけれど、自分たちは自分たちのやるべきことを粛々とやらなければ」と仕事に取り組んでいる様子を目撃する機会が多々あり、プロとしての専門性と使命の自覚はどの業界でも大事なことのはずだとあらためて思ったのである。(Y.K.)

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