DSC EXPRESS
Vol.021

DSC EXPRESS Vol.021をお届けします。
毎月15日発行です。どうぞ宜しくお願い致します。

  • テクノロジーとの関わり方を自然にする、暮らしに溶け込むデバイスのカタチ

    テクノロジーとの関わり方を自然にする、
    暮らしに溶け込むデバイスのカタチ

    CES2020 Unveiledで見かけた、斬新なスマートディスプレイデバイスは日本のmui labのプロダクトである。写真や動画では質感が伝わりきらないが、現物を見ると感動する。本物の木の中に6000個のLEDを埋め込み、その上から薄く削った木を張り合わせて、透かして表示をさせている。専用のペンで「柱の傷」を書いたり、手書きメモもできる。サイネージ業界ではごく一部のスタンド以外には本製品の話を聞いたことはない。これはデジタルサイネージ的には画期的な取り組みなのではないだろうか。

    これまでこうしたホームサイネージ、またはスマートディスプレイというカテゴリーでは5回ほどのチャレンジがあった。現在5番目の挑戦が進行中で、それはGoogleやアマゾンのスマートスピーカーにディスプレイが付いたものだ。これらはすべてインターネットに接続して情報を表示するディスプレイで、それもほぼLCDだった。
    だがmui labはそこからの発想ではない。

    「近年の急速なデジタル化に合わせ、私たちの生活も無意識のうちにテクノロジーに合わせて思考、行動(振る舞いや習慣を含む)するようになりました。「mui」は、老子の謂う「無為自然」の考え方に共感し、テクノロジーの関わり方が作為的でなく自然であるように、人間の所作やモノへの関わり方を観察し、新たな概念である「Calm Technology(穏やかなテクノロジー)」の佇まいを提唱しながら、デザインとエンジニアリングによってプロダクトやコンセプチュアルなアートによって社会に実装しています。」

    そうなのだ、テクノロジーとの関わり方というものはもっと自然になるべきなのである。

    横型のものと縦型のものがあるが、横型の場合には電源ケーブルが隠せない。そのため縦型がおすすめである。(Y.E.)

  • サイネージで伝わるメッセージ、伝えられないメッセージ

    サイネージで伝わるメッセージ、伝えられないメッセージ

    2020年2月3日(月)から17日(月)までJR山手線で特別な編成の車両が走っていることをご存じだろうか?これは「山手線」、「車両」の価値を改めて見つめ直し、「どうしたらお客さまの日々の移動体験を、より快適に楽しく、心動かされるものに進化させることができるのか」というテーマを掲げた「山手線Ver.2020 by東京感動線」というJR東日本の実験的プロモーションである。
    この特別編成の山手線では、まど上の3連ディスプレイに、独自の視点から東京の未来を創ろうと活躍している10名のインタビュー映像「東京感動線物語」を放映する他、一部に電子ペーパーのアイキャッチを挟み込んだ中づりでは山手線の歴史と特徴的なニュースを紹介、車両に搭載したLINE Beaconを経由してスマホで聴ける「山手線RADIO Powered by J-WAVE」、アドストラップ(つり革)の二次元コードを読み取って沿線のランドマークがスマホで体験できる「山手線AR Powered by Deep4Drive」、乗務員によるオリジナル車内放送等々、盛りだくさんのコンテンツとテクノロジーが導入されている。
    私たちはコミュニケーションを考える時についつい、アナログよりデジタル、STATICなペーパーより情報量の大きい動画を表示できるサイネージを重視しがちである。でも生活者の感情を動かし、その体験価値を向上させるものは、シーンによっては「じっくり読める」紙媒体であったり、聴覚から入ってくるサウンドコンテンツや肉声であったりする。一瞬で次の画面に切り替わってしまうサイネージでは伝えきれないことをどのように他のツールで補完して必要なメッセージや世界観を伝えていくか、全体のコミュニケーションデザインの中でサイネージはどのようにふるまうべきか、このような山手線のトライアルを契機に考えてみたいと思う。
    「山手線Ver.2020 by東京感動線」は本号掲載時にはまだ運行中である。是非、「ちょっとだけ未来の山手線」を体験していただきたい。(T.Y.)

  • デジタルサイネージ
    NEWS解説

    「エレベーターの更新費用」を半額以下に圧縮する方法とは? 記事元:幻冬舎 GOLD ONLINE 1月31日

    エレベーター「2020年問題」を受け、JES社の更新実績は右肩上がりで、管理台数も5万2,000台以上(2019年9月末時点)になるという。さらに近年、新しく開発した防犯カメラ付きデジタルサイネージ『LiftSPOT(リフトスポット)』は、設置費用も月額費用も無料で、防犯カメラを利用できるというメリットから、首都圏を中心に全国3,000台を超える成約となる(2019年9月末時点)。新しいエレベーター空間を創出するツールとして、業界内から熱い注目を集めている。

    たまたま乗ったエレベーターの中にデジタルサイネージを見かけた。それは明らかにビルトインではなく後付のもので、コンテンツの展開についても目新しさを感じるものであった。
    早速オフィスに戻り調べたところ、独立系のエレベーター保守専門会社が提供しているサービスで防犯カメラ付き。コンテンツは天気予報やメンテナンス情報の表示に加え、動画配信などをおこない、なんと初期費用、月額費用が一切不要と驚きのサービスであった。
    この会社は日の出の勢いでエレベーター保守契約台数を増やしており、現在50,000台を超え、このサイネージのサービスもすでに3,000台以上のようだ。なぜ無料で運用ができるのかといえば、動画配信に広告を乗せることによる広告収益での運用である。
    デジタルサイネージの成長は広告に支えられており、2019年のデジタルサイネージ広告市場規模は749億円の見通し(前年比113%)で、来年には1,000億円を超えると予測される。(デジタルインフェクト調べ)
    このうち交通機関での市場が一番高く480億円で全体の64.1%。すでに主要駅でテレビやスマートフォンとの連携したプロモーションが定着化されている。
    最近の注目はタクシーサイネージで、タクシー配車サービス大手4社がタブレット端末を活用した広告事業を展開しており、2019年24億円、2020年は倍増の48億円の市場の中で激しいシェア争いを繰り広げている。
    このように画面に注目してもらえるロケーションがあれば、導入コストの負担がないスキームを組めて一気に設置が進む可能性がある。
    さらに、スマートフォンとの連携により効果的なプロモーションが展開できれば、美容室などサロン系も有望な業種だと思われる。(H.I.)

Copyright c Digital Signage Consortium. All Rights Reserved.