DSC EXPRESS
Vol.014

DSC EXPRESS Vol.014をお届けします。
毎月1日・15日発行です。どうぞ宜しくお願い致します。

  • 次にくるサイネージは何か

    次にくるサイネージは何か

    デジタルサイネージは、交通系やビルボードを中心とした広告を流す媒体としてこの市場を牽引してきたが、近年はファストフードチェーン、百貨店、病院など様々な利用が増え、リテールからの興味が大きくなってきている。そんな中、設置したい場所で挙がるのが屋外・店頭である。
    屋外では太陽光に負けない明るさが必要なため、LED屋外用ビジョンが使用されることが多い。ご存知のように渋谷の交差点にも多数ある大型ビジョンがそれで、遠くから見る分には美しいが近くで見ると荒い。それは適正視認距離に応じた画素ピッチがあるためである。今年のDSJ2019では、屋外設置のリテール・ニーズに合わせて精細なピッチのものが多数展示されていた。しかし、まだまだ大変高額である。
    そこでおすすめしたいのが、ウインドウサイネージ(店内より窓越しに外向きに設置するディスプレイ)だ。もともと「ウインドウショッピング」なる言葉があるように、小売業においては販売につながる顧客の接点としてはとても重要で、生活者が情報収集や購入準備のためにとる行動である。
    現在は、屋内用液晶モニターで太陽光にも負けない2500カンデラを超えるような高輝度モデルが出てきているため、窓際においても十分鮮明に視認できる。そして近くで見る映像はLEDビジョンとは比べられないほど綺麗で迫力が伝わる。また屋内設置なので防水防塵、耐熱などの仕様が必要なく、俄然安定稼働が担保できる。当然、完全屋外仕様と比較すると価格もかなり抑えられる。さらに歩行者にも優しい。
    屋外のデジタルサイネージを一旦は諦めてしまったオーナー諸氏やご担当者も、今一度再考の機会ではないだろうか。次の顧客を呼び込む有効なツールになり得ると私は考える。(H.I)

  • 4Kに対応したRaspberryPi 4が4GBのメモリーを搭載した意義

    4Kに対応したRaspberryPi 4が
    4GBのメモリーを搭載した意義

    先日、シングルボードコンピュータのRaspberryPiの最新バージョン、RaspberryPi 4がいきなり発売された。バージョン4の詳細スペックに関しては、ここでは言及しないが、デジタルサイネージ的に言うと4Kディスプレイ2台に同時に出力できることもポイントだろう。しかし本当に重要なことは4K対応の話ではないのだ。
    サイネージに限らず、エッジAIが認知され、むしろエッジAIでやらないといけない、という現場の要求の方が先なのだが、単体でのAIファンクションの高性能化が要求されている。AI学習モデルがどんどん肥大化するようになり、RaspberryPiが従来の1GByteのSDRAMでは足りなくなってきているのである。演算の実用速度が出ても、学習モデルを展開できるメモリがないのであればどうにもならない。そこでRaspberryPi 4では複数のメモリモデルを展開し、最大4GBのモデルを用意した。通常のIoTアプリケーションでこのメモリは必要ないので、エッジAIアプリケーションがこのメモリを要求したのだ。
    エッジAIの覇権争いは続くと思われるが、おそらく安定稼働とエッジAIの処理速度やビジネスモデルの構築の仕方でデバイス選択が大きく左右されることになるだろう。これらを見極め、最適なソリューションをデザインして、提供できるか、否か。テクノロジーの進化が作る“溝”は新たな課題とビジネスチャンスを産むだろう。(Y.E.)
    ○動画リンク

  • デジタルサイネージ
    NEWS解説

    小田急・新宿駅西口にデジタルサイネージ 通行者動向計測、情報発信も視野に 記事元:新宿経済新聞 6月26日

    デジタルサイネージ(LEDビジョン)が小田急電鉄新宿駅西口地下コンコース外に設置され、6月18日から試験的に映像を配信している。天気や気温などの環境情報、商品販売状況など在庫情報に基づいた広告表現を可能にする機能などを搭載する。担当者は「順次IPカメラで通行する人の属性、流動などを計測する機能も備える予定。将来的には、性別や歩いている方向などを長期的に計測することで、配信内容がどのような方々に届いているかを分析したり、通行する人に提供すべき情報をよりリアルタイムに発信したりしていければ」と話す。

    6月のある日にさっそく見に行った。記事内のイメージ図より、もっと近くから見上げるような立地なので、目に入ったときにぐっとインパクトを持って迫ってくる感じだ。LEDなのでベゼル(枠)で区切られることのない大画面で、視野角が広く真下に近い角度から見上げても鮮明に見える。4月に東急田園都市線渋谷駅(地下)の通路に大型LEDビジョンが設置されたのが記憶に新しいが、いずれも屋内環境(自然光ではない環境)であり、今後LEDが屋内公共空間でも増えてくるのだろうと思う。そのことによってその空間の光や色彩のバランスがどうなって行くのかに、注目していきたい。
    現時点で流れているものを見ると、おおむね横16対縦9の動画を3つ並べているようだ。山手線E235系に搭載されている窓上3面での出稿ノウハウが生かされているように見える。そのうち、横幅をフルに活用したクリエイティブが増えてくるのだろうか。E235系用に3面連続の横長の動画を制作したことがあるが、3面の間には数センチの幅があり狭い車内で見るものなので、完全に連続した動画は想定しにくい。それに対して、この場所でベゼル無しのこれだけの幅があれば、どんなものが作れるだろうと想像するのも楽しみだ。
    そして、このデジタルサイネージの大きな特徴は、カメラが設置され通行者属性や動線などを計測分析して、広告効果測定や配信情報の質を上げることを計画していることである。現時点では、画面枠の左下にカメラのマークがテスト中の旨とともに貼られている。設置場所は、JR新宿駅西口改札に向かう方向に正対していて桁違いに多くの人が通る。今後どのような分析がどのように生かされて行くのかも、要注目である。(Y.K.)

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