DSC EXPRESS
Vol.006

DSC EXPRESS Vol.006をお届けします。
毎月1日・15日発行です。どうぞ宜しくお願い致します。

  • デジタルサイネージ
    TODAY

    「家の外」をメディアに!

    「家の外」をメディアに!

    実は、このタイトルは、筆者が「IMC Tokyo 2008」で行ったプレゼンテーションと同じものである。手元にある当時の資料を見返すと、OOH(Out Of Home)メディアの成立に向けた課題として、以下を挙げている。
    ① 各媒体が単体で営業・運営管理
      • 広告の取引基準を媒体事業者が個別に設定
      • 他の媒体とのクロスメディア展開が難しい
    ② ネットワーク対応が不十分
     • システム導入コストが依然高い
     • 施設内でのスタンドアロンでの設置が多い
     • メーカ毎にシステムの仕様・規格が異なる
    ③ 費用対効果が不透明:効果測定の手法・指標が未確立
    ④ 設置ロケーションへの配慮:近隣住民や騒音、倫理面、景観への配慮が必要
    それから10年余りの時を経て、去る2019年2月1日、デジタルOOH広告(以下DOOH)の配信プラットフォームの運営および広告媒体の開拓、広告枠の販売事業を行う、「株式会社LIVE BOARD(ライブボード)」が設立された。
    OOH市場は世界的には高い成長率を誇っている一方で、日本では年平均成長率は低く、さらにDOOHが占める割合もイギリスやシンガポールなどに及ばないが、その要因として同社代表取締役社長であり、DSC理事でもある神内一郎氏は、OOHのオーディエンスデータが整備されておらず、他のメディアと効果を比較できる指標がないことに加え、日本では非常に多くの媒体社が存在し、空き枠の確認が煩雑かつ広告のフォーマットが統一されておらず効率が悪い状況であることを指摘している。
    そうしたOOH市場が抱える多くの課題を解決するべく設立されたのが同社であり、以下をめざしているという。
    ① オーディエンスデータを把握し、日本初となるインプレッション型の広告販売を実現
    ② 広告取引の自動化によるコスト削減と提案スピードアップ
    ③ 複数のDOOH媒体を横断して購入できるオンラインのプラットフォームを構築し、効率の良い広告出稿を可能に
    さらに、5G回線を活用した高画質・低遅延での広告動画伝送とDOOHと通行者が持つスマートフォンが連動するなど、新たな付加価値のある広告商品を開発・提供したいと意気込む。
    長年の課題が解決に向かい、「家の外」が本格的なメディアになる日は近いのか。今後の動きに注目したい。(M.I.)
    ドコモと電通がデジタルOOH広告の新会社「ライブボード」を設立 より

  • デジタルサイネージ
    TOMORROW

    IoTが届けるデジタルサイネージ・コンテンツ

    IoTが届けるデジタルサイネージ・コンテンツ

    あと僅かで平成が終わる。この平成の時代はパソコンを一人一台持ち、そして携帯電話にインターネットが本格的に普及した急成長の時代であった。
    人と人とのコニュニケーションで発展してきたICTは成熟し、さらなる成長はもはや望めない。その中で生みだされてきたのがIoTである。さらに高齢化社会による労働力不足から人件費の高騰を抑えるべく、生産性を上げるための次の一手がIoT登場の背景でもあった。
    これまで、ひと対ひとの対面活動が主であった小売業でも、人手不足と効率化のために取り組みが強化されてきた。その中で最近注目されているのがレジの無人化。このシーンでデジタルサイネージの利用は、目的の商品の特徴や製品情報、さらに在庫状況が知りたい場合など、店員に頼らずそのモノをかざすだけでビジュアルに画面が教えてくれる。
    また、最近増えてきたオフィスで利用する従業員向けのオフィスサイネージにおけるIoTは、掲示板がデジタルサイネージに代わるだけではなく、社員が朝ゲートを通過すると、あなたに伝えたい情報だけが表示されるようになる。「今日のあなたの仕事、課題は」「明日までに提出物をお忘れなく」「社長から呼び出しです。10時に社長室へ!」など、パーソナルな情報提供が画面に出るのである。
    コンパクトになった機器がモノと一体化し、自らフィードバックする。そこには見える化を実現するデジタルサイネージがさらに増える。そのIoTは効率化だけがキーワードではない。新元号に変わるいま、心新たにフラットな気持ちで見える化を創造していきたい。(H.I.)

  • デジタルサイネージ
    NEWS解説

    AI映像解析のフューチャースタンダード、顔認識技術を活用したサイネージの視聴効果計測サービス「SCORER for Signage」をリリース! 記事元:PR TIMES 2019年2月5日

    この、SCORER for Signageは、後付けでUSBカメラと小型の専用端末をサイネージへ設置するだけで、画像解析による顔認識技術によって、サイネージ閲覧した人の性別・年齢別の視聴数が計測でき、ダッシュボードで効果を確認できるサービスです。また、セットトップボックスと連携させることで、性別・年齢別のターゲティング広告も可能にします。

    旧くて新しい「カメラ」の話である。2009~2010年頃にかけて、主に商業施設の来店者数カウント用の「顔認識」ソリューションを応用して、デジタルサイネージの注目率や接触者の属性をカウントするトライアルがあちこちで実施された。もともと当時から顔の「画像」自体を記録するものではなく、画像から得られた情報をデータとして認識する仕組みであるため、個人の特定やプライバシーの侵害に当たらないものであったが、そもそもルールやポリシーが決まっていなかったことや一部のネガティブな報道の影響もあり、関係者にとってはなかなか手を出しにくい分野になって久しい。
    その後、最近になって各省庁より様々なガイドラインが発表され、ようやく次のフェーズが始まろうとしている。今後、様々なロケーションで実験を含むカメラの活用事例は増えていくだろう。但し得られたデータを適切に活用するためには、カメラや分析ソフトウェアのスペック・設置方法等の標準化やパブリックスペースにおける告知表示の方法等、まだまだ整理すべき問題は多い。
    DSCではこのほど「センシングサイネージガイドライン策定 WG(仮称)」の設置を決定、カメラやセンサーを用いて、その時その場所にいる人に対して最適化したコンテンツを提供するために遵守すべき事項を定めたサイネージにおける活用に特化したガイドラインの策定を目指している。これからのサイネージのあり方やコンテンツへの応用に多くの可能性を持ったジャンルであるだけに業界全体で取り組むべきテーマとして注目したい。(T.Y)
    【参考】
    カメラ画像利活用ガイドブック Ver.2.0 2018年3月 / IoT 推進コンソーシアム、総務省、経済産業省
    AI・データの利用に関する契約ガイドライン 2018年6月 / 経済産業省
    国土交通省所管分野における個人情報保護に関するガイドライン 2015年3月改定 / 国土交通省

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