ロードサイドのデジタルサイネージと自動運転
クリスマスのイルミネーションが沿道空間を華やかに飾り始める季節だが、デジタルサイネージ(DS)も着実に増えている。事故につながる恐れがある動画によるサイネージはだめという指導も残っているようだが、そのような規制はこの先どうなるのだろか。
ひところ、首都高沿道のOOHやバス停サイネージ等に対して、規制やガイドライン運用が厳しく、なかなかDSが普及しない時代があった。数年前、青山ストリートビルボードが設置された際には、これはギリギリセーフなのか?と思ったものだ。現在もPASONAビル前で、青山通りを渋谷方向に向かう車両に正面から動画を流しているが、このロケーションに限っては、街路樹が茂っていると隠れて観難いケースが多い。
DSC EXPRESS Vol.208(前号)で、ロンドンの最新事例が紹介されているが、英国はロードサイドへのDS展開でも先進的だ。日本のような厳しい規制が無いのか、あるいは、積極的にロードサイドをビジネスとして活用する考え方が強いのか、DSのロケーションとしてはメジャーな領域だ。日本も、規制については、もっと緩和するべきで、コロナ前の規制改革会議では、道路上空を飛び越えてビル壁面にプロジェクションマッピングするという実証も行われた。
クリスマスのイルミネーションの見物等では、須らく渋滞し、超低速走行になるわけなので、こうした場合は、もっと派手にDSがはめ込まれても良いのではないかと思う。近年は、自動運転のレベル1搭載車が普及しているので、ハンドルから少々手を放してDSに見入っても、事故にはならない可能性が高い。下手に、自分の手と足で操作する方が逆にアブナイという時代だ。路車間通信の課題も多いのだが、路側帯に露出しているデジタルサイネージは、むしろ、自動運転への支援機能を装備できる可能性もある。
2025年9月には、青山通りと骨董通りの交差点に大型3連のデジタルサイネージがオープンした。渋谷方向に走ると、青山一丁目辺りから、ビルの壁面や、外苑前駅、3丁目交差点、表参道交差点、骨董通り交差点、青山学院前バス停と、ずいぶん、DSが連なった。
11月後半の木曜夕方、MaxMaraが表参道交差点のイベントスペースに設置した超大型LED画面の前にラクダを置き、そこでのオープニングレセプションには、女優さんなど20人近くが次々と登壇してファッションショーのようだった。あれ?何やってんだろうと思うと、路車間通信でデータが送られ、通り過ぎて走った先の骨董通り交差点の3連DSでは、次のアクションを誘う、といった演出くらいは実現してほしいものだ。その3連DSの対面にMaxMara青山店のDSもある。
(N.S.)