事例紹介:マグナムシンガポール
クラシック・リミックス アーケード
ショッピングモールという環境で、巨大なアイスクリームの動画に圧倒されるとき。広告は露出から体験にかわるかも?!シンガポールのマグナムアイスクリームの広告キャンペーンを紹介する。
ユニリーバのアイスクリームブランド『マグナム』の、シンガポールでのキャンペーン事例をご紹介する。
マグナムシンガポールが発売しているクラシック・リミックスという商品にちなんで、最新のシリーズを紹介するための、オンライン企画を実施した。
様々なゲームがオンラインで楽しめるClassic Remix Arcadeを2023年4月にローンチ。クラシックの名にちなんで、遊べるゲームコンテンツもノスタルジックなイメージで展開している。ゲームで遊ぶとマグナムゴールドコインが獲得でき、商品と引き換えられる。マイクロサイトでは一か月弱で5万人のユーザーが1万時間、ゲームを楽しみ、引き続き平均プレイ時間も上昇中。ユーザーのログイン平均は約2時間とのこと。
また、リアルな体験を提供するために、ポップアップストアも展開。オンラインゲームを忠実に再現したアーケードゲームが楽しめる。
シンガポールで人気の大型ショッピングセンター、ラッフルズシティの入り口では、シンガポールで初となる3Dアナモルフィック広告ディスプレイを導入し、マグナムクラシック・リミックスをフルスクリーンで、映画レベルのクオリティとともに楽しめる動画広告を展開。交通量が多い大通りに面しているため、インパクトと相まって、オーディエンスのリーチも視認率も最大化できる施策となっている。さらには、ショッピングモールに、ショッピングというレジャーを目的に入店するというマインドセットにあるオーディエンスがこの広告をみたら、効果も高まることが想像される。
さて、この企画をみてふと思ったのが、いまさらながら体験価値の最大化だ。同じ広告でも、それをどこでどう提供するか、という文脈次第で、広告がオーディエンスに与える効果は激変する。測定されるexposureか、それを超えたexperienceになるか、コンテクストが大きく影響するだろう。
環境による感情への影響を測定するために、ニューロサイエンスのテクノロジーを活用した事例がある。VRヘッドセットを通して30分、空港内での行動を疑似的に経験。神経反応を測定するキャップを装着して、脳活動の高さを測定。結果、空港内の複数の主要なエリアで高いレベルの感情的な強度が見られた。空港という環境はそもそもが、感情のピークを作り出しているシチュエーションであることがわかる。高い感情を持つことで記憶の符号化レベルが高くなる、ということを考えると、空港は何かを見せて記憶させることに向いている、というのが調査の結論だった。記憶の符号化の強度を他媒体と比較すると、ラジオ<テレビ<屋外広告<空港という結果になっている。
世界中で「リベンジトラベル」がキーワードになっている今こそ、空港の広告が最強かも。そして、上記のような上質な動画広告が組み合わさると、仮説としては、体験効果がマックスになるかも!?と期待が高まる。(Y.T.)