都市連動型メタバースにおけるOOH広告
コロナ禍の中で始まり、延べ100万人近くが参加した「バーチャル渋谷au 5Gハロウィーンフェス」は、いよいよ3回目が開催される。渋谷区公認の都市連動型メタバースだけあって、「めっちゃ渋谷」が再現された。そこにはOOH広告の近未来も表現されていた。
仮想空間「メタバース」で広告を利用する動きが広がっているという。どこに表示するかというとメタバース内の建物の壁やアバターが歩く脇に立て看板などを表示し静止画や動画広告を流す。あるいはイベントスペースなどを作り展開する。つまりメタバース内のOOH広告というわけだ。
「ロブロックス」や「フォートナイト」といった世界で数億人が利用するゲームでは、広告の仕組みを取り入れ、日本の大手デジタル広告会社も「メディアとしての役割を持ち始めてきた」と広告販売を始めている。
「バーチャル渋谷」は、KDDI、渋谷未来デザイン、渋谷区観光協会を中心に組成する「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」が2020年5月に立ち上げた自治体公認のバーチャル事業だ。渋谷に関係する複数のステークホルダーが密接に連携し、地域ごとに実在都市とメタバースが共存するためのあり方を議論するなど、実在都市と連動した仮想空間、すなわち「都市連動型メタバース」であることが最大の特徴だ。
過去2回行われた「バーチャル渋谷au 5Gハロウィーンフェス」では、参加者から「めっちゃ渋谷、めっちゃリアル」といった声が聞かれたが、それを実感させたのは建物と同時にそこに設置された看板、サイン、デジタルサイネージなどのOOH広告が大きな役割を担っていたからだろう。
ビックカメラがレックカメラ、UCカードが UDカード、三千里薬品が五千里薬品、さらにアコムがパコム、TSUTAYAがTATSUYA、UNIQLOがONIQLOとなっていたのには笑えたが、これらは立派な渋谷の都市景観で、省略することはできないだろう。
JR渋谷駅壁面のハチコーボードなどがデジタルサイネージになっていたり、現在は取り壊された東急百貨店の脇に巨大な看板もあったりした。また、「アイドルマスター スターリットシーズン」の広告で、ハロウィーンモチーフの衣装を身につけたアイドルたちが、MODIエリアに登場。ビルの壁面や道路の両脇に超巨大な看板がずらりと並ぶ展開をしていた。
これらは現実世界にはないOOH広告展開だ。屋外広告物条例や道路交通法などの広告規制概念がないからだろう。しかし、メタバースで作られた広告が、近未来にデジタルテクノロジーと規制緩和によってリアルにフィードバックし実現する可能性もある。ここに広告業界関係者は注目して欲しい。新たなメディア開発のヒントになる内容がバーチャル渋谷にはあるからだ。
今年の「バーチャル渋谷au 5G ハロウィーンフェス2022」は、10月26日から31日まで開催。今年はどんなOOH広告展開があるか楽しみだ。VRゴーグルやHMDが無くても、パソコンやスマートフォンだけでも参加可能なので、是非体験してみてはいかがだろうか。(K.Y)
▲バーチャル渋谷 au 5G ハロウィーンフェス 2022
https://vcity.au5g.jp/shibuya/halloween2022