DSC EXPRESS
Vol.077

DSC EXPRESS Vol.077をお届けします。
毎月5日、15日、25日発行です。どうぞ宜しくお願い致します。

  • 見られる場所はどこにある?サイネージと設置環境におけるユーザー心理との関係性

    小売店でのデジタルサイネージ広告活用

    最近ではファミリーマートに設置された「Family Mart Vision」が記憶に新しいが、コンビニ以外の小売店でもデジタルサイネージ広告を目にする機会が増えている。今回はそんな小売店で活用されているデジタルサイネージ広告について触れてみたい。

     昨年発表されたCARTA HOLDINGS「デジタルサイネージ広告市場調査」*によると、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、ドラッグストアなどの小売店や、その他の商業施設・店舗でのデジタルサイネージ広告は、急激な市場成長が見込まれるとされている。

    *出典:CARTA HOLDINGS「デジタルサイネージ広告市場調査」
    https://cartaholdings.co.jp/news/20211209_01/

     小売店のデジタルサイネージ広告はDSC EXPRESS Vol.056でも触れているように、様々な技術が導入され進化を遂げている。例えば、マルエツ・カスミ・マックスバリュ関東の売り場に設置された「イグニカサイネージサービス」では、AIカメラにより放映コンテンツ毎に計測した視聴数に応じて課金する広告料金体系や、コンテンツ視聴効果の分析・可視化サービスなどを提供している。

     ここでは、2009年に運用が開始された「イオンチャンネル」について、少し掘り下げてみたい。

     イオンチャンネルは、全国にあるイオンの集客力・販売力の高い店舗を対象に、食品売り場のレジ付近に集中的に設置されたモニターで広告を放映するサイネージメディアである。主婦やファミリー層をターゲットとし、1ロール5分の長さで広告とコンテンツや情報を交互に放映している。放映する広告主は食品(飲料)メーカーの他、官公庁、決済サービス、自治体、求人、番宣、アプリ、エネルギー、通信、イベント、施設、不動産などと多岐に亘る。放映期間は1週間の短期から年間放映まで選べ、放映エリアも全国・エリア・店舗単位と自由度が高い。放映する広告主の訴求したい内容によってケースは異なるが、官公庁のキャンペーン期間に合わせて長期で放映、新商品発売キャンペーンのタイミングに合わせて短期集中的に放映、店舗を指定して不動産関連の広告をスポット的に放映するなど、様々な放映ケースが見られる。

     商品が並ぶ売り場に設置するデジタルサイネージは、AIカメラなどの技術を用いながら、その売り場の商品に興味を示すターゲットに対してピンポイントで商品の訴求を行い、イオンチャンネルのようなレジ付近に設置するデジタルサイネージは、その店舗に来店したターゲットを広く捉え、様々な内容の広告をマス的に放映するなど、同じ売り場の空間であってもロケーションによって役割が違ってくる。

     リアルな売り場での買い物はECサイトとは違った楽しみがある。商品選びのサポートや有益な情報提供の他、空間演出などにより、売り場にいることが楽しくなるようなデジタルサイネージの活躍に、一消費者としても期待を寄せている。(K.S.)

Copyright c Digital Signage Consortium. All Rights Reserved.