地域からデジタル化
「スマートバス停」の新たな連携が始まる
以前ご紹介した「スマートバス停」。コロナ禍でも事業者や自治体との新たな可能性を探る様々な取り組みが行われている。スマートバス停のこの1年間の動向を紹介する。
「スマートバス停」とは、人々に何をもたらすのか。
事業者側にとっては、紙だった時刻表のデジタル配信による大幅な業務改善効果。利用者にとっても、デジタルならではの多言語対応や特定時間帯の拡大表示、緊急情報に対応可能など利用者サービスが向上し非常にメリットが多い。2020年12月に全国で20基ほどであったスマートバス停だが、2021年に入ってから徐々にエリアも広がり普及が始まった。
2021年4月導入の神戸市や熊本市の場合、複数のバス事業者の情報を一元化で表示できるということや既存のシステムと連携できることが評価され採用されている。さらに熊本市では、屋外広告物条例ガイドラインの改正を行うことで施設の維持にとって重要な広告収益を充てることができるようになり、今後の事業拡大の可能性も見えてきた。
2021年3月には、福岡県の北九州空港エアポートバス2路線(全23バス停)に導入。全バス停がデジタル対応したことで航空ダイヤに合わせた変更、告知等の業務が大幅に軽減されている。
福岡県の南部に位置する「みやま市」では、全国で3番目になる自動運転コミュニティバスが2021年7月19日から運行開始しているが、9月からは更にスマートバス停と連携した実証実験も始まっている。
みやま市の場合、スマートバス停を情報プラットフォームとして位置づけ、QRコードを配信・表示することで運行情報や各種情報ソースまでの円滑なアクセス環境を提供している。
2022年1月からは追加で2基導入され、自動運転車両の位置情報がスマートバス停に表示されるようになった。これは地域のMaaS(Mobility-as-a-Service)事例として公共交通サービスとスマートバス停を連携した新たなサービスの可能性を感じさせるものだ。
現在稼働しているスマートバス停は、全国で77基になりバス事業者をはじめ自治体が抱える人員不足、高齢化社会などの課題の解決方法としてもさらに注目されるようになってきた。そんな地域の課題に向き合う「スマートバス停」の今後に注目してほしい。(K.O)
みやま市HPhttps://www.city.miyama.lg.jp/s006/kurashi/140/jidouunten.html