DSC EXPRESS
Vol.069

DSC EXPRESS Vol.069をお届けします。
毎月5日、15日、25日発行です。どうぞ宜しくお願い致します。

  • 進化するOOHメディア ~データによるメディア価値可視化のアプローチ~

    デジタルサイネージのキラーコンテンツ。
    3D動画の潮流が止まらない。

    昨年、ここでも取り上げ大きな話題になったクロス新宿ビジョンの「3D猫(猫ちゃんねる)」は、デジタルサイネージのキラーコンテンツとなったと言えるだろう。その後、これを模した3D動画を使ったオリジナル広告も続々と登場しており、一過性のブームで終わらなかった。3Dクリエイティブの力が、デジタルサイネージをランドマーク化させ、広告媒体としての価値を上げ、需要を取り込み成功している。3D動画の潮流が止まらない。

     3D動画広告を実施した広告主「商品」(3D表現されたもの)が昨年末までにどれだけあったかに注目して欲しい。ランダムに紹介すると、バンダイナムコエンターテインメント:「ドラゴンボールZ ドッカンバトル」(フリーザ)。スクエアエニックス:「星のドラゴンクエスト」(スライム)。miHoYo:ゲーム「原神」(バーバラ)。NetEase Games:ゲームIdentity V 第五人格」(少女・悪夢)。同じく「ライフアフター」シーズン4「変異暴走、再び」(ゾンビと小峠英二さん)。日本テレビ:テレビ番組「1億3000万人のSHOWチャンネル」(小峠英二さん)。東宝:劇場版「きのう何食べた?」(西島秀俊さん・内野聖陽さん)。アマゾンジャパン:Amazon Prime Video「ホイールオブタイム」(モイレインと魔物)。マセラティ:「マセラティMC20」。レノボ・ジャパン:PC「 Yoga」(バーチャルモデルimma)。東宝東和、ギャガ配給:映画「ボス・ベイビー ファミリー・ミッション」(ボス・ベイビー)。これらに出演する人物やキャラクター(声優)の声を使った演出は、臨場感を高め、オーディオアドとしても効果的だった。

     猫を使った広告も登場した。Beijing Roborock Technology:ロボット掃除機「Roborock S7」(子猫)。可愛い子猫がRoborockを見つけ、その上にジャンプして乗り、掃除が終わったロボット掃除機の上で寝てしまうというもので、一部3D猫と同じ動きもしていた。3Dではなかったが、いなばペットフードの「 CIAO ちゅ~る」の広告も多く実施している。

     隣にある「アルタビジョン」と連動させた展開も行われた。ソニーネットワークコミュニケーションズは、NUROの猫キャラクター「ニャーロ」が魚を求めて二つの大型ビジョン間を飛び移ったりする動画広告を実施した。

    https://www.youtube.com/watch?v=SNvc_rNnbUg (公式YouTubeより)

     特筆すべきものは、広告の中にオリジナルの3D猫とコラボしたものがでたことだ。

     QVCジャパンは自社の段ボールから出てくる3D猫の可愛らしい動画を放映。日産自動車は、3D猫がねこ用軽自動車「にゃっさんデイズ」に乗った動画だった。同社の軽自動車「日産デイズ」を、人間に変わって猫に運転させてみることで、搭載されている先進技術を楽しくPRする取り組みの一環で実施された。アイロボット・コーポレーションは、3D猫が換毛期で身体を振ると毛が抜け、飛び散る。それをルンバ( i3)が清掃するというもの。ルンバにペットの抜け毛の掃除を任せて、ペットとの時間をもっと充実させてほしいという思いから、共演が実現したという。Roborockもそうだが親和性が抜群に高く目の付け所がいい。最後にルンバが画面から飛び出して落ちるかと思うシーンがあったが、それを回避。これは段差センサーにより端を検知して落ちないということを示すものだった。商品の機能的価値と3Dの効果的演出を見事にマッチングさせた表現と言えるだろう。

    https://www.youtube.com/watch?v=lHgEXNy-_YU(公式YouTubeより)

     テレビ番組や映画の出演者を使ったコラボCMがスルーされにくく、効果的なのは言うまでも無いが、この手法に似ている。この媒体に広告を出す必然性を生んでいる。同時に公式のTwitterやYouTubeで広告動画が多くアップされており、見逃し配信サービスのような仕組みを作っている点も優れている点だ。TwitterではNURO(ニャーロ)の動画が約137万回、YouTubeでは星のドラゴンクエスト(スライム)の動画が約295万回再生されるなど、サイネージが話題の着火点になった二次的効果も侮れない。当初、一部樹木がかかって見えたり、スマホで撮影した時にフリッカー現象があったりして課題と思ったのだが改善させており、こういった関係者の努力も成功の要因だろう。(K.Y.)

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