ファッションブランド広告の駅デジタルサイネージ活用
新型コロナウイルスの感染者数が減少し、緊急事態宣言が解除された10月からは、首都圏においても通勤者を始めとする電車の利用者数が増えているようだ。今回は駅の構内に設置されたデジタルサイネージを活用する、ファッションブランドの広告について触れてみたい。
駅の構内を見渡すと、柱や壁面、ホーム周りなどありとあらゆる場所にデジタルサイネージ広告が設置されている。駅構内と言えば連続多面的にビジョンが展開するのが特徴的だが、最近ではJR東日本新宿駅の長さ45.6mのLEDビジョン「新宿ウォール456」や、大阪メトロ梅田駅の長さ40mのLEDビジョン「Umeda Metro Vision」などに代表される、大型のビジョンが増えている。
そんな駅のデジタルサイネージでは、アプリ/サイト/配信サービスなどのインターネット情報サービスの他、化粧品や飲料といった広告の出稿が特に多く見られる。また、百貨店などの商業施設やブランドショップが近くにある駅では、ファッションブランドの広告もたびたび目にする。特に春夏や秋冬のキャンペーンに合わせた3~4月、9~10月の時期に出稿が増えるが、2021年9月、新アーティスティックディレクターに就任した、キム・ジョーンズ氏が手掛ける『フェンディ(FENDI)』のコレクション発表に合わせたキャンペーン広告が、新宿・銀座・表参道などの駅をジャックした。
新宿では、JR新宿駅で先述の「新宿ウォール456」や「J・ADビジョン」で東西自由通路から東口改札にかけてジャックし、東京メトロ新宿駅及び新宿三丁目駅で「Metro Concourse Vision(MCV)」でジャックした。東京メトロ銀座駅では「MCV」「銀座ノーブルビジョン」の他、ポスター広告でジャック。東京メトロ表参道駅では「MCV」の他、ポスターや柱巻きなどの広告でジャックした。また、大阪メトロや阪急の梅田駅のデジタルサイネージなどでも同様の広告が出稿。高精細のビジョンにゆったりと映し出される動画広告はラグジュアリーな雰囲気を醸し出し、大型ビジョンの広告は雑誌のマルチプルアドを一度に展開したような迫力。
昨今のファッションブランドのプロモーションでは、写真やテキストに比べ商品イメージや着用感を伝えやすい、動画を活用したマーケティング戦略が重要になっているようだ。様々なメディアの中でも特に拡散効果が期待できるソーシャルメディアにおいて、例えばinstagramでは動画をストーリーズに投稿したり、ライブ配信を行うなど動画をうまく活用している。一方デジタルサイネージにおいては、動画を放映できることは勿論のこと、連続多面/大型/音の使用が可能といった特性を生かし、スマホで見た時とは違うインパクトを与えられることが強みだ(大型ビジョンをランウェイとして使うファッションショーも面白い)。今後もデジタルサイネージをうまく活用したファッションブランドの広告展開に注目していきたい。(K.S)