デジタルサイネージがデジタルサイネージを超えていく
昨今のデジタルサイネージは広告用途の枠を超え、空間演出やブランディングの向上を目的として使用され始めている。デジタルサイネージの進化におけるキーワードとは、一体何か。
街の再開発や東京オリンピック・パラリンピックの開催、デジタル庁の創設等により、世の中がデジタル化に向かって突き進んでいる中、あらゆる所でデジタルサイネージを目にするようになった。駅や交通機関、商業施設、ホテル、大学等、デジタルサイネージの活用範囲は拡大している。
一般的にポスターや看板に代わる情報提供ツール、販売促進ツールとしての活用方法が浸透しているが、最近では演出効果の高いデジタルサイネージをよく見かける。
2020年7月にオープンした「RAYARD MIYASHITA PARK」の2階から3階への吹き抜け空間に、全方向から視認可能な高精細LEDビジョンタワーが設置されている。天井が鏡になっているため、空間を広く見せると共に施設のシンボルとして迫力ある演出となっている。
このようにデジタルサイネージは、空間演出やブランディングの向上を目的として使われ始め、その役割の幅を広げているのだ。
■デジタルサイネージのエンターテインメント化
新型コロナウィルス感染拡大により不要不急の外出を避ける生活が続いたことから、人々は浪費をしなくなった。その浪費回復は非常に厳しく、あらゆる場面で変化が求められている。中でも、ショッピングセンターや商業施設は、人口減少等により、コロナ禍以前から開業数の減少、閉鎖数の増加が問題視されてきた。ここから脱却するには、わざわざ足を運びたい場所、楽しみを求めて足を運ぶ場所、として人々に利用いただく必要があるだろう。
上記事例のように、新しい商業の形をつくる一部としてデジタルサイネージの活用が挙げられ、空間演出やブランディング、各種イベントとの連動アイテムとしての効果が期待できる。
■デジタルサイネージは「デジタル建材」「デジタル内装」へと進化
ここでキーワードをご紹介。これまでデジタルサイネージは追加機器として導入が検討されてきたが、今後はオープン前の設計段階からスペックし空間に必要不可欠な「デジタル建材」「デジタル内装」として定着していくのではないだろうか。
情報提供・販促・広告・サイン案内に加え、空間演出にブランディングと、デジタルサイネージは多角的に使われ始め、その可能性や重要性は非常に高まっている。(T.W.)